第25章 収束への旅路
「…なんでなのか教えてやるよ……お前が利用され続けて、…なのにお前は、優しいからだ」
『……優しかったら、一人になっちゃうの…?…じゃあ私、やだ…優しくなんか、なりたくない………いい子になったら、…一人になっちゃう…の…?』
「…今までいい子にしてきた分、ちゃんとお前が欲しいものをやるよ………“澪”、お前…今一番何が欲しい?…どうなってほしい」
ピクリと肩が揺れる。
彼の目を見ると、その瞳は真剣で…嘘をつかない目だって、語りかけてきた。
嘘はつかない…なんでも、叶える方法を教えてやる。
俺に全部、吐いちまえ。
そういう目。
『……い、の…?…何言う、か…わかんない、よ…?ほんとに、いいの…??』
「お前を探し始めた時から、とっくに覚悟は決まってるさ」
『…ぁ……あ、…っ……中也、さん…!!』
焼けそうなほどに…はちきれてしまいそうな程に、喉を震わせるのが痛かった。
言ってはいけない言葉だった…絶対に、口にしてはいけない願いだった。
約束を、破ってしまうのに。
それでも言えと…言わないのなら、いっそのこと俺が殺してやると言わんばかりのその瞳に抗う術など持ち合わせてはいなくて。
「言え…、言っちまえ……お前が望んでくれさえすれば、俺はいくらでもお前の力になれるんだから」
さらりと撫でられた髪…そして頬。
くしゃ、と微笑むその顔に恐怖など何もなくて…むしろ心の底から嬉しそうで。
…やっぱり頭おかしいや、この人。
ひとつ、喉をならして唾を飲み、口を開いて声を絞り出す。
『ぁ…、の…っ…』
「うん…聞いてる。…大丈夫、誰が反対したって、俺がお前の味方になってやる…お前がばけもんでも、神でもはたまた死神でも…中身がただの能力の器でも、俺がそれに一生かけて添い遂げてやる」
『あ、ッ……中也、さ…っ』
ん?…なんだよ、お願いがあるんだろ?
笑顔で彼は言いのけた。
『お、願…ッ……、…わた、しと…生き地獄、まで…ついて、きて…、?』
「…お前からのお願いだ…全力で叶えてやるさ、その我儘。……よく言えたな…もう我慢しなくていい。もう一人にしないから…俺が一生離してやらねえから」
包み込まれる私の身体。
その核を半分、体外へと引き出して…
『ん…、…っ…』
「…口移しかよ…、ったく…」
口付けを交わして、移し替える。
彼の身体の中に。