第25章 収束への旅路
『…ッ、…やだ…や、だぁ…っ』
「…どうした…なんでそんなに取り乱してんだよ」
少しの時間で駆けつけてきてくれた彼の胸に飛び込むように飛びつけば、彼は姿勢を崩して先程までの私のように背中から倒れる。
頭の中が整理しきれなくて、ただただ恐怖に押しつぶされそうになる。
「まだ引きずってんのか昨日の話?それなら、またゆっくりでいいって…」
『ゆ、っくりしてた、らっ…間に、合わな…ッ』
「!…お前、死にたくねえって…まさかそれ気にして焦って…?」
「……詳しくは俺は知らないけど、思い出さなきゃって…ずっと頭かかえて、ずっと辛そうにしてた。…中也さんのことで何か気にしてるのもあるかもしれないけど、それ以上にこんな風に怖がってて」
涙を滲ませるのも気にせずに中也の胸に顔を埋めて、ただそこに彼の体温があることを確かめるように、縋り付く。
『も、やだっ…中也、さんと離れるの…!もう、嫌…!!!』
「「!!!」」
会えなくなる。
触れられなくなる。
ようやっと自分が触れられる相手ができたのに…やっと、そんな相手と出逢えたのに。
『こ、なこと…なる、なら…っ……、出逢いたく、なかった…!!!出逢わないうちに死にたかった!!!』
「蝶…、それは…」
『なんで!?なんでいつもいつもそうなの…!!?なん、でッ…なんでよ…!!澪、何もしてない…っ、何も悪いことしてない!!!』
「…そうだ、お前はなにもしていない。…お前は何も悪くない……何もだ」
怒られなかった…怒鳴られもしなかった。
全てを受け止めて、彼は“私”を肯定した。
それに動揺して、余計に胸が締め付けられる。
『ね、え…っ、なんで…?な、んで…なんでいつも、上手くいかないの…?…いつに、なったら…一緒にいられるようになるの…?わ、たし…』
いつになっても、結局一人になっちゃうの…?
呟いた言葉に、中也の腕に力が入る。
「………させねぇよ…んなこと…っ、…させてやるか、俺は諦め悪ぃんだ…」
『…ママ、も…パパも、お兄ちゃ…も……皆わたしのこといらないの。…皆…わたしといたがらないの』
「俺がいる…今ちゃんと、ここに!!!…俺が、いるから…」
『…わたしにそう言った人…皆、私より先に死んじゃうの。…それか私が、一緒にいられなくなっちゃうの』
なんでかなぁ……?