第25章 収束への旅路
いきなり家に帰ったこと…独断行動にもあたるそれをみんなに謝り、ちゃんと次の日には学校へ行った。
多分、中也と離れていた方がやりやすい。
受験を控えたまとめの時期に、みんなが一生懸命勉強をするこの時期に…不純だとは自分でも思うけれど。
それでも、勉強面においては正直、既に知識として問題が分かってしまう私は、それ以外のことで頭がいっぱいいっぱいで。
『………ッ、…違…う…』
あれも…これも、全然違う。
どこまで遡ってみても、私が思い出さないようにしている頃の記憶の中に、中也のそれは存在しない。
だから、ちゃんと向き合って順番に…ゆっくり、遡っていってるのに。
怖いものばかりで、全然見つからない。
『……っっ…、!!!』
嫌な光景…思い出される嫌な感覚。
それに飲み込まれそうになるのになんとか耐えながら、学校生活を過ごしていた。
授業中でも、いつでも…隙があれば試していた。
クラスの方針としては、殺せんせーへの暗殺は卒業までしっかり続けることに決まっている。
そして、皆それぞれ志望校だって決まっていて。
ただ一人、前どころか後ろも見えなくなっていて、どこかがんじがらめになっているような感覚で。
『っは、……っ、…』
何かがまずい気がするの。
このまま、何もしないで…何にも思い出さないままでいたら。
思い出したの、自分のおかれている状況を。
思い出したの…皆と卒業できるかどうか、分からないってことを。
昨日、あれから散々頭を悩ませた。
そして、最終的に気がついてしまった。
「…またやってる。……昼休みに屋根に登ってまで、またしんどいことしてんじゃん」
『!!…か、…るま…』
「あれからすごい様子が変なんだけどさ?…何してんの?今日、ずっと…流石に俺も、隣にいたらわかる」
『……気にしない、ふりしててよ…あんまり、余裕ないから』
そう、余裕が無いのだ。
「余裕がないなんて、そんなの見たらわか…」
『…っ、わか、る…?なんで、わかるの…?……余裕が、ないの…全然もうないの…ッ』
中也がいる手前、こんなこと口に出せっこなくて。
それでも私は思い出さなきゃいけなくて。
「蝶…?一旦冷静に…」
『冷静、になってる余裕も…ない、の…っ、………もう、二月なのッ…私、もう時間がないかもしれないの…!!』
余裕がない…時間に余裕が、全然ない