第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
『へえ、殺されちゃうんですか?それはそれは、暗殺出来そうで何より』
銃を傾け、同時にニコッと笑えば殺せんせーはガタガタと震え上がった。
「せ、先生何も知りません。……烏間先生、今日一日白石さんは何もしないというのを、ちゃんと報告できるようにしておいて下さい?」
「は、?あ、ああ…」
殺せんせーを脅すような形で黙らせて、授業が始まった。
一時間目、固定砲台から六丁の銃が出てきて、殺せんせーのいる黒板前へ向かって照準が定められる。
「…また何か企んでるでしょ?」
『ううん?何にも?』
カルマ君の問いにしらばっくれてにこにことただ笑顔を殺せんせーに向ける。
そして固定砲台から射撃の合図を示す声が聞こえ、前方の席の子達は皆体を強ばらせて頭を押さえた。
「……え、っ?」
しかし、いつまでたっても射撃は起こらない。
「…銃に何かが詰まっているようです。体勢を立て直してから射撃をする事にします」
固定砲台は大人しく銃をしまい、全ての銃に詰められているものを取り除こうと暗殺モードを解いた。
まあ、いくら取り除いたところでこの一時間は無意味な事でしょうけどね?
「あーらら、悪い顔してるねぇ」
カルマ君は犯人が分かった様子で、私の方を見て笑っている。
『何のことでしょうかねぇ?』
二時間目も銃に何かが詰まっているのが問題となって暗殺は断念。
三時間目はなんとか発砲出来たかと思えば、出てきたのはBB弾ではなく何故か色とりどりの紙吹雪。
四時間目に至っては飴玉が発砲されるという異常事態によって、午前中の暗殺はまともに行われることは無かった。
昼休み、カルマ君以外のトリックが分かっていない子達は、一斉に私の元に駆け寄ってきた。
「ねえねえ蝶ちゃん、あれ、蝶ちゃんが何かしたわけじゃないの!?昨日の夜に何か弄ったりとかさ!」
『残念ながら昨日の夜は仕事して、友達作りして帰ったけど?』
「本当に何もしてねえのかよ?……飴なんかやけに美味いやつだし」
『だから、私が何かしたのを誰か見たの?何もしてないってば』
まあ全部私のせいなんだけどね。
詰まったものが一時間も取れないのは、私が取り除かれるものをまたそこに、紙吹雪は職員室にあったものを、飴玉は私が首領に昨日いただいたちょっとお高めのやつを延々リロード。
しかし確かに、私は“何もしていない”。