第25章 収束への旅路
物資の運び込みを粗方手伝ってから、私は日本人の宇宙飛行士さんと、ISS内で恐らくリーダーを務める宇宙飛行士さんと三人で、別の部屋へ移動していた。
そこで見せられたのは、動画。
『……え、…?…ちょ、っと…待って下さい……こ、れは…っ…?』
「…見ての通り、データさ。…君の」
見せられた動画には、確かに鮮明に映っていたのである。
今よりも少し成熟した私と…見覚えのある髪色の少年が。
「ある研究者から、いくつかのデータが送られてきていてね。その中にあったのがこれ…人を治療している、この動画」
『…待って…?何、これ……私こんなの…“知らない”…ッ』
問題は、私と思わしき人物が少年を治療していることではない。
その治療法は、見覚えがありすぎるもので…しかし、だからこそこれは大問題でしかなくて。
一緒にいる少年…生きてる心地のしないその様相。
それでも分かる…今のような活き活きした表情をしていなくても、成長した姿じゃなくっても…それでも。
『な、んで…?…なんで…、これ…この子…ッ、…』
「…知り合いなのかい?」
『!!!』
知り合いも、何も。
言葉はそれしか出てこなかった。
その映像の中で、確かに私は治していたのだ。
少年…まだ私が白石蝶になる以前の、“中原中也”という存在を。
「まず、君に話をしたかったのは…すまなかった。君の…恐らく見られたくはなかったであろう研究を、我々二人は見てしまったんだ」
勿論他言はしていない。
そう言われて、普通はホッとするところ。
しかし、今回ばかりは問題がそこではない。
『…い、つ…?……これ…』
「これ、って…映像かい?……今から、およそ九年前のものだね」
『!!!』
時期が…彼の記憶が、当てはまる。
しかし、だとしたらこれは誰なのだ…この、私の見た目をした…私しか扱うことの出来ないはずの能力を、この世界で扱うこの存在は。
「君本人に確認しないと分からないものだとかなんとかで、この研究は終えられているんだが…何か、分かるかい?……無理に聞き出しはしないが」
『……貴方達が知っていいような、ものじゃありません…それだけです』
「…そうか、それならそれでいい。…しかし、顔色が優れないな…一体何が…____」
突如、頭が警報を鳴らすようにして、痛み始める。
何かが、おかしい。
何かが…