第25章 収束への旅路
『…宇宙?ISSをハイジャックって…よく烏間先生にばらさずにここまで準備が進んだものね』
学校に久しぶりに登校したというのに、校舎には誰も時間になっても来なかった。
殺せんせーでさえもが、だ。
そこで烏間先生とイリーナ先生と合流し、事情を調査するべく私が単身で殺せんせーの元へ移動したのだが。
「政府からの依頼という形で来た蝶さんに、責任を負わせるのには抵抗がありまして…」
『……いいんですか?そんなに私に向かって安心してても…私、ポートマフィアの特別幹部なんですが』
「え…?」
クラス全員の中に、元、と付けなかったことに違和感を感じた人間がただ一人。
カエデちゃんだ。
『私、本業復帰することにしたの。普通の職よりやっぱりしっくりくるし』
「まってまって!!?…蝶、ちゃん…ぽ、ポートマフィアに戻ったの!?えええ!!?」
『探偵社とかけ持ちすることになったの。てなわけでよろしくね』
冷や汗をダラダラと流し始める殺せんせー。
事の重大さを理解したのだろうか。
「…すみません、何も知らせず…しかし、貴女が殺し屋にカテゴライズされるようになったのなら話は別だ」
『私にお願いがあるんです?殺せんせー』
ふふ、と微笑むとまたギクリと動揺される。
「……二人のことを、頼んでもいいですか?」
『もちろんです。…でもそれ、報酬は?』
「にゅや!!?報酬って…ええっ、!?」
『ポートマフィアの実質トップ2ですよ?これでも…取り引きするならそれらしいことしていただかないと』
ざわつく皆からは、あの蝶ちゃんが…!?
などと驚きの声が上がり続ける。
まあ、冗談だからいいのだけれども。
「…この手はあまり使いたくはありませんでしたが、仕方ないですね……中原さんの秘蔵盗撮写真集でいかがですか」
『受け取ったあとにじっくり尋問ですねそれは?』
「「「殺せんせー今すぐ土下座してええええ!!!!!」」」
『まあ冗談ですけど…そういうことなら、私は二人がISSに乗り込んでから合流することにしますね?……一役買ってみせますよ、“本職”ですし』
「貴女がいれば、二人の安全は確保されたようなものです…先生のデータも結構ですが、ぜひとも宇宙旅行を楽しんできてください!!」
はい、と微笑んでから、目視できないほど小さなサイズの白い扉を創り出した。