第24章 繋がること
明るい時間帯の任務を終えれば、書類を作成してそれを首領の元へと提出しに行く。
幹部職である自分が動くレベルのものであるため、相手が相手ではあるが書く内容自体はそんなに大したものではない。
特に今回のものはただの殲滅任務であったから、書類はついでで、報告という形を取ることになる。
なので、とっとと書類を作成して持っていくだけなのだが…
「あー、俺が出るまでもなかったな今回は…書類だけ作って判押すくらいしか仕事が…」
『書類なら終わってるけど』
「…」
さらりと答える蝶は、目も合わせることなく完成した書類を俺に手渡す。
それも、簡単なものでいいのにしっかり作りこんであって、必要以上に詳細にまとめられすぎている。
満点どころかそれ以上だ、こんなものこいつが作ったって一目見れば首領なら気づく。
間違いなくだ。
「…蝶?いつの間に作ったんだよこれ…俺達、確かつい今執務室に戻ってきたばかりだよな?お前の能力で」
『殲滅任務の書類なんて片手間で間に合うじゃない』
「おま…、まさか任務中にパソコン持ち歩いてたのって…!!?」
驚かされるにも程がある。
現役のポートマフィア時代にもこんなのは見たことなかったのに。
「なあ、やっぱりお前、この業界の仕事って天職か?」
『さあ…首領のとこ行かなくていいの?』
「いや、そりゃ行くけど…お前も来るんだぞ?」
『!?…、わ、分かってます』
一瞬明らかに動揺して、それからまた無愛想にそう言い捨てる。
…拗ねてやがるな、完全に。
可愛らしいけど。
非常に可愛らしいけど。
首領に書類を提出して報告すれば、やはりというかなんというか、想像通りの…他の奴らと似たような反応を示していた。
「いやあ、やっぱり早いねぇ蝶ちゃんがいるだけで…書類は勿論だけど任務自体も」
『別に…仮にも元幹部ですから』
「それにしても今日は早くなかったかい?やけにスピーディーじゃないか…任務中に書類作ってたくらいでしょ?」
『…別に普通です』
流石に首領も察し始める。
そしてそれを、口にする。
「……蝶ちゃん、もしかして今日拗ねてる?」
『拗ねてません』
「いや、絶対拗ねてるでしょ!?不機嫌なの丸分かりだし口癖が『何か?』い、いや………中也君何したの!!?」
「なんで俺のせいなんですか…」
半分は間違っていないが。