第24章 繋がること
「中也君と一緒にいるのにこの反応とあの口癖が頻発するなんて、普通ありえないんだよ!?自覚ある!!?」
「いやいや、俺と一緒だったらっていう意味がよく…」
「君といるだけでご機嫌になる蝶ちゃんがこんなに拗ねるのがそもそもおかしいのだよ!!何したの!?白状するんだ!!」
なんというパワハラだ。
首領権限恐るべし…というか何だよ白状って、俺のせいじゃないのに……半分は。
朝にあったことを首領に嘘偽りなく説明すると、更に顔を背けてツンとする蝶。
余計にご機嫌ななめになったらしい、だが可愛い。
「…というと?蝶ちゃんが朝に勝てなかったってことかい?」
「そうなりますね。結局三時間は布団の中でした」
「……そ、そんな理由で不機嫌にな『不機嫌じゃないですけど何か…?』い、いやいやいや、うん、不機嫌じゃないね!!あと中也君、寝ていただけでその…そういうのはしなくてもいいんじゃあないかな…なんて」
流石は森さん、蝶に甘い…チョロいにも程があんだろ。
取り繕うのに必死すぎて泣けてくるレベルだ。
「蝶は寝るために休暇を取ってるんじゃなくて、俺といるために休んでるんです…布団と戯れるためじゃないんですよ」
「え…?……ちょっとまって中也君、それもしかして布と「報告は以上なので失礼します。行くぞ、蝶」えええ!!?そこで切るの!?ねえ!!?」
“中原君”とは呼ばれていないため、命令外だ。
今のは森さんからの茶化しだったのだから。
無理矢理話を切って蝶の手を取り、そのまま踵を返す。
が、引いた手が付いてくることはなく、ピタリと俺の動きが制限される。
気になって蝶の方へと顔を向ければ、シンと静かになった蝶の後ろ姿が目に入った。
「蝶…?……怒ってんのかよ?それなら戻ってから話聞くから、今は……蝶?聞いて…____」
なんのレスポンスも無いから、珍しいと思ったら。
顔を覗き込むように彼女の目の前に回ってしゃがみ込むと、その表情が目に映る。
そこで俺は漸く謎が解けた。
蝶は、目を丸くして俯いたまま、顔を真っ赤にさせて体を震わせていたのだ。
所謂、本気照れである。
「…蝶、戻らねえの?」
『え…っ、!!?も、戻る…!!!』
「よし、いい子だ…行くぞ」
手を出せば恐る恐る重ねられる蝶の小さな手。
それに指を絡めて引いて、今度こそ首領の部屋を後にした。