第24章 繋がること
『…』
「……中也さん、蝶に何したんすか…めちゃくちゃ不機嫌じゃないですか今日」
「してねえよ、あいつが自業自得で拗ねてるだけだ」
任務中、同行しているのは黒蜥蜴なため、立原や広津さん、そして芥川の妹も行動を共にしている。
無残なことに本日の蝶さんは絶好調に機嫌が悪いため、こちらが何かを頼まずとも身動きも取れなくされてしまう相手陣。
後はそこをつけばいいだけなため、正直に言って最早こんなに人手はいらなかった。
「拗ねてるって…いやいやいや、拗ねてるってレベルですかあれ!?拗ねてるだけで応戦もできずにやられる相手に同情するぜ…っ」
「俺もだ。いいか立原?蝶は敵に回しちゃいけねえぞ?死ぬから」
「説得力しか存在しねぇ…!!!…って、そうじゃなくて!!いったい何があってあんなに不機嫌になってんですか!?昼からずっと怖ぇってのに、時間が経つにつれてどんどん機嫌が悪くなっていってるような…」
「…朝に駄々こねて睡眠時間二時間延長したいって言い始めたから、それで延長して起きなかったら一日キス禁止っつってたんだよ。…結論から言うと、そういうことだ」
「えっ、まさかそんだけで不き…なんでもないっす」
蝶から殺気が飛びそうになったのを感じ取ったのか、凄まじい勢いで訂正する立原。
「…中也さんなら絶対守ってないですよね?そんな内容の約束」
「そりゃあ俺だからな?でもあいつ馬鹿みてぇに真面目だから本気で遂行しようとしてんだよ、俺が言ったからって…可愛くね?」
「蝶ちゃん可愛い…」
「中原君、もしかして分かってて…」
全てを察した広津さんの言葉に、立原も芥川の妹もピシリと固まった。
「あーんな可愛らしい反抗期中々ないぜ?思春期っぽくて結構結構…あ~早く任務片付けて愛でてやりて__」
言いかけた刹那に蝶と遭遇する敵。
「あ?子供…?…侵入者…にしてはえらく可愛らしいじゃな____」
「___あ゛ぁ…?」
汚い手で蝶の肩に触れる直前に、重力操作で立原の所持していた弾丸を相手目掛けてぶっ放した。
予定外すぎる後方支援に蝶は何が起こったのか分からなかったらしく、立原の方へ視線を投げている。
「この旦那にしてあの嫁か…腑に落ちた…」
「相変わらず似たもの同士なことで…そんなに嫌だったのですか?触らせるのが」
「嫌とかじゃなくてダメなんだよ」