第24章 繋がること
『…蝶、は…中也さんの役に立ちたい……中也さんの、…』
唯一無二に、なりたい。
声なき声からそう聞き取れたような気がした。
いや、蝶はいつだってそうだった…いつだって、“それ”を求めていた。
けれど甘え方を忘れて、どうすればいいのか分からなくて、辿り着いたのは関わらないということ。
線を引いて接するということ。
そして、それは少し違うのだとようやく分かるようになってきた。
「もう十分すぎるくらいには助けられてるんだがな…」
頬長くに口付けてから、彼女を慈しむようにまたそれを繰り返す。
「……俺はもう、とっくの昔からお前のもんだよ。…お前は俺ので、俺はお前のだ…存在ごとくれてやる」
『…、…だ、ったら…ッ…ぁ…、…ど、しよ……も、____…て、なんて甘えたらいいかわかんな…っふ、ッ…!?』
一旦落ち着かせるように額に口付けてやれば、蝶は目を丸くして思考を停止させたようだった。
俺だって分からない、どう反応していいものか。
だって、俺だって初めてなのだから。
誰かに…いや、唯一愛おしいと感じてやまない絶対的存在に、そんな本音をもらされたら。
____幸せすぎて、これ以上何を甘えたらいいのか分からない
他の誰でもないこの少女から、この上ない幸せを伝えられるだなんて。
幸せを、与えられていたのか俺は。
彼女の口から、幸せだなんて伝えてもらってもいいのか…俺は。
ますます愛おしくなっていく彼女に、少ししてから照れくさくなって、かっこつけて返事した。
「…お前、あんまそういうことばっか言ってっと容赦してやらねえからな?…覚悟しとけ、もっと頭おかしくさせてやるよ」
頭がおかしいのはどっちだか…ああ、俺もつくづくこいつに似てか素直じゃない。
上着を脱いでから蝶を抱え、そのままベッドへと連れて行こうとすれば、彼女が首元に腕を回して甘えるように抱き着いてきた。
…珍しいこともあったものだ。
「なんだよ…そんな可愛らしい甘え方してきて。珍しいじゃねえか」
『っ…、だ、って…!…な、んで手錠…とかあるの…?』
「流石だな蝶は、気付いたか…お前、今日は甘やかしてやらねえからな?」
『そんなのここにあるなんて聞いてな「俺に捕まえてもらえるチャンスだぜ?」…!!…っぁ…ぅ…』
本気で照れさせてしまえばこっちのものだ。
「安心しろ、逃がしてやらねぇよ」