第24章 繋がること
「なるほど、それで今日は私服を…うん、可愛い」
「真顔でそんなにジロジロ見ないでください首領…蝶が怖がってます」
「えええ!?今更!!?」
家を出る準備をし始める際に、蝶からの次のお願いが発せられた。
____「着る服を選んでほしい…?」
『ん…どれがいい?…どれ、が…その……可愛い、…?』
「どれ着ても可愛『そ、そういうの無し…っ』…いや、けど…どれって、なぁ…」____
何着ても似合うし…なんなら何着ても可愛いし。
俺が見繕ってきた服ばっかりだが。
結局今日の気分で、キャラメル色をしたニットのハイネックワンピースをチョイスしておいた。
まあ完全に趣味だ、俺の。
それが似合ってしまう蝶さんマジ天使…口が裂けても言えねえけど。
そこに本人お気に入りの黒のロングコートと赤いマフラーで完成…らしい。
なんともまあ御満悦そうな。
首領の愛で具合に俺の背中に隠れてしまってはいるが。
「それにしても…嬉しそうだねぇ蝶ちゃん?中也君に選んでもらったのって初めてだったっけ?」
「あー…そういえば、蝶の方から選んでほしいだなんて初めて言われました。あと着せてやりました」
「着せたの!!?僕まだ君達のスキンシップに慣れてないところがあっただなんて驚きなんだけど着せたの!?」
「着せることは最近ちょくちょくありますよ?」
それこそ、何を今更…という話だ。
当然のように目を丸くして聞き返すのだが、それでもショックが大きかったらしい。
「いや、君達…仲良すぎない?いや、分かってたけど…分かってたけども…!」
一緒にご飯を作って、作りあって、食べて食べさせあって…
時には一緒にお風呂に入り、着替えをさせ、髪を乾かして愛妻弁当を持たされて、そして必ず寝る時は隣で。
一通り考えた。
考え抜いて、首領に思わず聞き返す。
「………え?普通じゃないんですか?」
「え゛、っ…」
『…?』
俺と蝶が揃って首を傾げると、項垂れられる始末。
そして一言。
「そ、その生活はね…?なんというか、その…君達最初から夫婦みたいな生活をしてるなあ…って…」
「『夫婦ですけど…』」
「生粋の夫婦仲流石だよ…まあ、君達二人は状況が状況だし?それが最適な距離だったのに変わりはないのだろうけど……着る服を選んでほしいだなんて、随分と子供らしいお願いだね?珍しい」