第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
「えーっと?この二人はいったい…?」
「気にしていたら身が持たなくなる。まあ、いつもの事だ」
「は、はあ?」
私たち二人の様子を見ていた立原は、初めて見たからか呆然としていた。
広津さんは慣れているため、私が見られて恥ずかしくもなければ彼が見て恥ずかしがることもない。
「っつーと……え、まさか二人は付き合って」
「まだ付き合ってねえよ!!なんて事言いやがる立原!!?」
「ええ!!?でもどう見たって…」
立原は言葉を続けなかった。
中也さんに気づかれないように、私が立原の方を向いていたから。
中也さんにそのつもりはないの。
ただ私が一方的に好きなだけ…
そんな事中也さんの前じゃ言えないから、笑おうにも笑いきれない私は困ったように笑う事しか出来なかった。
でも、それできっと立原には伝わってくれる。
「…蝶?」
「は?蝶がどうか……おい、ちょっと力入れすぎなんじゃっ……ち、蝶さん、ギブだギブ!!」
立原が私に反応を示してしまったため、中也さんに悟らせないよう、強すぎるくらいに腕に力をいれる。
だってこんな顔、中也さんに見せれっこないんだもん。
「…まあそういう事だ、立原君。さて、仲直りも済んだようだし。こんな時間になってしまったね」
『!中也さん、アイス買って帰ろ?アイス食べたい』
「あ、アイスな、ああ分かった、分かったから腕を……はあ、助かった」
『広津さんも立原もまたね!今度プリン持ってくるよ!』
中也さんを離して笑顔でそっちを向けば、二人とも笑い返してくれた。
そしてさよならを言って寝台から降りようとした時。
「待てよ。……俺を置いてく気か?」
手首を掴まれ、中也さんに阻止された。
「んじゃ二人共、俺もこの辺で帰らせてもらう。またこいつと会ったときはよろしくな」
「勿論ですよ」
「は、はい」
中也さんはそれだけ二人に言ってから、私の手首を掴んだ手を離して歩き出す。
その様子を後ろからぽかんと眺めていれば、中也さんが振り返った。
「おい、何だよ。帰んねえのか?」
『か、帰る…!』
中也さんの隣に走っていって、彼の隣に追いつけば、彼は今度は私の掌をとった。
『え、中也さん?』
「んだよ…悪いか」
目は合わせてくれないけど、そんな中也さんが何だか可愛く思えて笑みが零れる。
『ううん、大好き』
暖かい____