第24章 繋がること
朝のホームルームでは、殺せんせーは毎日生徒全員の点呼を取る。
中也の付けてくれた名前を呼んでもらえるのが、どれだけ嬉しかっただろうか…
私の前まで点呼が進んだところで、どうなるのかといよいよドキドキする。
殺せんせーにも話は伝わっているのだろうか…それとも…?
なんて考えていると、殺せんせーの点呼が急に止まり、先生が固まって動かなくなる。
「え、ええっと……白……えっ…?」
「?どうしたの殺せんせー?」
「次白石じゃねえのかよ?」
「い、いやだって……ええ!?」
ガバッ、とこちらに顔を向けて動揺する殺せんせーと目が合い、それに対してニコッと表情を和らげて微笑み返す。
すると殺せんせーは更に動揺し、恐る恐る口にする。
「し、しら『白…?』………な、っ…」
「「「な…?」」」
「…〜〜〜〜〜っ、“中原”…蝶、さん…!!!」
『よく出来ました、先生♪』
「「「はああああああ!!!!!?」」」
一斉にこちらに顔を向ける皆。
そして殺せんせーが遂に言及し始める。
「ちょっ、どういうことですかこれ!?先生何も聞いてないですよ!!?名簿の名前がいきなり変わって…ええ!?どうして突然苗字が!!?」
『え、浅野さんから聞いてないんですか?先にちゃんと連絡しておいたのに…』
「何も聞いてませんよ先生!!浅野さんのいたずらですねこれ!!?…って、連絡!?なんの連絡!!?」
『中也との結婚報告』
「結婚報告!!!!?……って、ああ成程、そういうことですか!結婚…それで苗字が…」
ああ、結婚か。
やっとか〜、成程ね。
急すぎてびっくりしたわ、なんてサプライズだよ…
なんて穏やかな声が溢れてる。
のも束の間のこと。
「「「「………いや、そうじゃなくて!!!!!結婚!!!!!?」」」」
『えっ、うん?苗字もらってくださいって言われたから、はいって』
「「「「話に追いつけねえよもう!!!!」」」」
『正式なプロポーズされたから受けただけ』
間違ってはいない。
そして、この場の誰一人として、中学生なのに?と口にしない。
早すぎないか、とか、普通に考えたらおかしいだろう、とか…
そういうことを言われなくて、正直心の底からホッとしてる。
『これからは白石呼び、ダメだからね?』
「中原さんの苗字を呼び捨てにすんのとか恐れ多すぎんだろ…」