第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
「え、友達って……友達?」
上からになってしまったけれど…偉そうになってしまったけれど、ポートマフィアを離れた今だからこそそう言えた。
『何よ、何か不服なわけ?』
「いや、そんな事はないが…なんでわざわざ友達?」
私のお願い事に、立原本人だけではなく、中也さんも広津さんも驚いている様子。
『だ、だって私…横浜には、上司か部下か同僚しか、いないから』
そう、奇跡的に学校というものに今通えているからこそ友達というものが出来た。
そしてそれがどれだけ嬉しいものなのかを知ってしまった私としては、年齢なんて関係なく、何も考えずに接する事が出来るようなこの人と、そんな関係になりたいのである。
「……何だよ、素直になりゃ子供らしい事も言えんじゃねえか」
『なっ、だから私は餓鬼じゃなくって!!』
「餓鬼だなんて今言ってねえだろ俺。悪かったよ、んで?友達とやらになればいいんだろ?」
顔を近づけてにやりとする立原に、また恥ずかしくなった。
中也さんが何やら慌てた様子だが、広津さんに宥められている。
『…………ん、』
「分かったよ、よろしくな蝶」
可愛げのないであろう返事で頷いたのにも関わらず、なんだか彼は嬉しそうだった。
そして、まるで中也さんがそうしてくれるかのようにして、私の頭をくしゃりと撫でた。
『えっ、な、なんで…』
「仲直りって…これでいいんじゃねえのか?」
仲直り、彼はそう言って手を離す。
私は撫でられるのが好き。
だけどそんな事を立原が知っているわけがない。
『………中也さん?』
「な、何だよ?俺は別に何もしてなっ……あ、」
ちらりと中也さんに目線を変えて彼を見れば、明らかに様子がおかしかった。
何かを隠しているような……大概、中也さんも私には嘘がつけない。
そんな中也さんは、すぐにボロを出してくれた。
「中原君も本当に蝶ちゃんの前なら素直な様で…」
「ひ、広津さん!これは違っ…」
何だ、中也さんが立原に教えててくれたんだ。
だから立原は、“私との仲直り”で頭を撫でたんだ。
結局また中也さんが助けてくれちゃって、友達まで出来ちゃったなあ。
「か、幹部…なんかすんません色々と」
「立原手前…………うおっ、!?」
照れたように私と目を合わせようとしない中也さんに飛びついて、やっぱり彼が大好きだと改めて実感する。