第24章 繋がること
「逆に考えてみなよ、悪意持って故意に君のこと実験台にして、挙句悪意満々で他の人にまた実験ばっか繰り返してた奴!しかも資金集めも人にやらせて、フィアンセに暴力振るうような奴だよ?悪意持った悪い奴って、そーゆー奴のこと言うの!」
『!…で、でも…結果的に私が「はいネガティブにならない!」う…』
「だいたい、四年半前のシステムダウンで助かったって言ってたけど…それ、茅野ちゃんがいてくれなかったら君がその場で死んじゃってたってことだよ?…悪意を持ってないいい人から、殺されかけたんだ、君は」
『え…』
考えようによっては、そうなるのか。
いや、でも結果的に私は死なないし…助かってるし。
雪村あぐりさんは亡くなってるし。
「…なんでそういう時には思いつかないの?ほかの人に対してしか優しくなれないのかな蝶ちゃんは本当に…“お相子”!ね?そんなに納得いかないんだったらお相子でいいじゃん!」
____もうちょっと、自分にも優しくしてあげて…いいんじゃないの?
ゆっくりと呟かれた言葉に、じわりと何か込み上げてくる。
何度言われてきただろう…しかしここまでストレートに全て言ってくれる人なんて…
自分にも優しく、なんて…
「……気が済むまでゆっくりしていってよ、いくらでも相手になるし…中原君にだけ連絡入れてお……って、かかってきたよ」
振動する携帯で通話ボタンをタップした瞬間、トウェインさんの端末から大きな大きな声が聞こえた。
「おいトウェイン!!!!蝶見てねえか!?どっか…ああ、もうどこでもいい!!!!探偵社にもマフィアの拠点にも、他の知り合いあたっていってもいねえんだよ!!あとあたってないのが手前んとこと…」
「うん、ちょうど今連絡しようと思ってた…大丈夫、心配しなくてもずっとうちにいるから。とりあえず紅茶とお菓子と用意してあるんだけど、中原君も来るかい?」
「ああ!!?い…!!…蝶がいる、のか?…そ、そうか…手前んとこなら安心だな……お、おう、椚ヶ丘からすぐ向かうわ…あ、あと紅茶と菓子!?んなもんで足りるか、蝶がいるんだぞ!!?俺が追加でもっと買い足していってやるよ!!!」
くれぐれも手ぇ出すなよ!!!
プツッと切れる電話。
「…ほら、誰も気にしてないから。良かったね蝶ちゃん、今夜はケーキパーティーだよ!」
『………あ…りが、と…』