第24章 繋がること
柳沢は科学者だ。
そして私を造った親も…その頃の私も。
おそらく彼を動かしていたものは探究心と好奇心。
それはよくわかる。
『…っ、…は、…ッ』
「え…っ、えええ!!?蝶ちゃん!?ちょっとどうしたのこんな時間に…しかも服ボロボロじゃな…____」
『…、ウェイ…さ…っ……わ、たし…やっぱ、り……不幸しか持ってこなかった…っ、!!…やっぱり…来ちゃ、行けなかった…!!!』
「なになに、どうしたの突然!?とりあえず…あー、飲み物!紅茶飲もう紅茶!!ケーキもあるから…ってああああ、そんなに目擦らないで!?」
よくわかるのだ…道の存在を発見してしまったら、とことんまでに追い求めたくなるその気持ち。
彼は反物質を見つけ…そしてそこから、反物質についての研究を開始したはず。
私はいわばその反物質の塊のような存在なのだから、実験するにはうってつけだったのだろう。
…しかし、それを普通の人間に試してみたら?
反物質を持たないものに、それを移植してみたら?
『死神、さんも…あぐりさんも、糸成君もカエデちゃんも…っ、月を破壊したのも、中也さんの身体を変えちゃったのだって、全部…ッ!!わた、しが…来なかったら…っ』
「!!…どこかに一人で行っちゃわないで、トウェインさんのところに来てくれたのはよしとしよう……でも蝶ちゃん、何もまだ聞けてはいないけど、一つ言わせてもらう。…それ以上僕の前でそんなこと言ってたら、悲しくなるよ…?」
目を見開いて、勢いが鎮まった。
どうして、悲しむ…?
トウェインさんが?なんで…?
「…少なくとも、君がここに来てくれなかったら…僕は今頃生きてない。それに、誰かに恋なんてすることもなく、生きていたとしても家族もいなくなって、たった一人で生涯を過ごしていただろう」
『…それ、が…何で……』
「誰かを好きになるって、確かに苦しいこともあるだろうけど…それでも、好きになれるのは幸せなことだろう?その上、君は本当に優しい子だ…僕だけじゃなく、たくさんの人に愛情を教えてくれてるはずだよ」
愛情を、教える…真っ先に思い浮かんだ顔。
自分が死ぬっていうのに私の心配ばかりして…最後の最後で、いつもみたいに中也ならって付け足さないで…
『さく…の、……すけ…』
「…そんな悲しいこと言わないで…君が救った人間も、この世界にたくさんいるんだから」