第24章 繋がること
柳沢は、何も殺すことを前提とした実験をすべての者に行っているわけではなかったはずだ。
私がこの特異体質を持っていなければ、恐らくは実験がそこまで過激になることもなかったのだろう。
理由は、ただシンプルに、実験材料の損失は彼にとって痛いものだから。
だから、ある程度実験段階が重なった被験体である死神を殺すことは避けていたはずだ。
殺してしまってまた最初からやり直すだなんてこと、あの天才科学者ならば、本来避けて通れる道だから。
けれど私は違った。
何故なら、殺してもまた同じ条件で身体が再構築されるから。
単純に、面白かったのだろう…何をしても、最終的には何も失われないのだから。
中也にくっついたまま教室に戻れば、イリーナ先生ももう中にいた。
「!おかえり…あ、あの蝶ちゃん…っ、私、蝶ちゃんに謝らなくちゃって…!!」
『…謝らないでよ…寧ろ、ありがとう。私のこと助けてくれて……じゃないと私、今頃また六歳からやり直してたところだもん。…それに、私がここに来てから、ずっと傍にいてくれた』
真っ先に私の元へと駆けつけてきたのは、茅野カエデちゃん…もとい、雪村あかりちゃん。
学校にきて、初めて出来た女の子の大親友。
彼女のおかげで、他の子達の輪にも入れるようになっていった。
『カエデちゃんのおかげで、私学校にも通えてるの…またちっちゃくなっちゃってたら、こんな経験できなかったはずだよ』
「!!…けど、…それでも、私が『私も話さなきゃって思ってたから…今日のことも含めて、ありがとう。……改めて、友達でいてくれると嬉しいよ』…っ、…ほんと…なんでそんなにいい子なの…っ」
ぎゅう、と抱きしめられて、目を大きく見開いた。
こんなにも、私のことを思ってくれていた人が…こんなところにいたなんて。
知らなかった。
『いい子じゃ、ないよ…』
「いい子、だよ…っ…これまでだって、色んなものから私達のこと……今日だって、あんなに危なかったのに、私のこと…!」
『…じゃあ、お相子。私もそれ、同じだから』
目を丸くするカエデちゃんに、また抱きしめられた。
「蝶、お相子ってよく言うよね…もしかして中也さんの影響?」
『!…どうだろう。……中也さんは、誰の影響?』
カルマからの問に、本人の方に返してみる。
「ああ?…お前ずるいぞ、分かってんだろそれ」
『…えへへ』