第24章 繋がること
「そんな礼ばっか言ってっけど、俺がこんな男だって忘れたかよ」
『は、…♡…い、いの…っ…ちゅ、うやさ…な、ら…い…♡』
「…さん付けなってる。……もっとお仕置きされたいって?」
『ぁ…、…あ…♡』
顎に指を添えられて、また少し上を向かされる。
逆らえない…逆らいたくない。
どうしようもないほどに、私は貴方に溺れさせられてしまっているのだから。
「……あ〜…いけねえ、このままじゃマジで襲いそうだわ…家帰るまで我慢」
『…ん……』
「…ごめんって…いや、悪かったって、そんなまた泣きそうな……あああああ、蝶さん!!?お願いだからそんな泣かないで下さ…帰ったら好きなだけしますから!!!ねえ!!?」
『…ぎゅってしててくれるなら…我慢する』
「もう永遠にどうぞこの胸に!!!!」
抱き寄せられれ、ようやくそこで安心する。
私に深い口付けをするなんて…そのまま放置だなんて、酷いもの。
触れてるくらい許してよね。
貴方がスイッチ切り替えちゃったんだから。
『…蝶、不服…けど満足』
「足りてないのはよぉくわかった…担任の話、聞いてからな?」
『!…ん、』
そうだ、まだ残ってた。
恐らく私と同じで、柳沢に捕らわれていたであろう殺せんせー。
いかにも間抜けなあの容姿からは微塵も想像できなかった…否、微塵も想像させてくれなかった、彼の正体。
『…私、多分何度か会ったことある…あの人と』
「!…担任と?」
『…中也と出逢う前、だけど…“死神”と』
「!!!」
判断材料といったら、彼の持つ、特化しすぎたあらゆる技術だろうか…それとも、ふと焦った時にだけ頭を過ぎる懐かしさのある、あの声だろうか。
どれでもいい…ただ、あまりにも変わりすぎていて気付けなかった。
そして恐らく、相手もどこかの段階までは気付いてはいなかった。
私が零であったということに。
『…触手の研究は、あの人のからだで行われてたもの…そこから派生して、糸成君やカエデちゃんにも、それが渡ったと考えてるの』
「…施設で、出会ったことは…?」
『……無いって、知ってるでしょ?…私はずっと、水の中にいたんだから』
そして、抵抗はできなかった…途中からはもう、しようという気さえ起こらなかった。
彼はどうだろうか…分からないな。
首輪さえ…枷さえ…
注入される劇薬さえ、無かったなら…