第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
「すんません幹部、流石に辛そうなんでこうしちまいましたが……幹部?」
中也さんは顔を青くしたまま私を見つめる。
そして私を今抱えているであろう人物を見ると、それもまたまさかの絆創膏男。
って、何!?何で私の事横抱きにしてるのこの人!?
『な、ななっ、何でこんな』
横向きに抱いてるってあれだよね、要するにお姫様抱っこされてるって事だよね!?
中也さん以外の男の人からこんな事されたのは初めてで、理解をするのにも時間がかかる。
そして先程までとはまた別の意味で熱くなり始める私の顔。
驚く程にうるさく響く胸の鼓動。
「!た、立原手前なんでっ」
「いや、だってさっきみたいなとこ触られてたらその…女じゃ敏感でしょうから」
天然か、こっちが本物の天然か!
私をそっと元いた寝台の上に座らせて、絆創膏男は元いた位置に立ち直る。
「まあ、確かに。……女性の体に触れる時は、少々気を遣って行動した方がよろしいですね、特に二人きりじゃない時には。でないと蝶ちゃんが恥ずかし」
『ひ、広津さん!!いいよもう言わなくても!!』
中也さんによって恥ずかしくなったというのもあったが、普段される事の無い“女性としての扱い”というものは、私を盛大に照れさせるには十分すぎるものだった。
そして私の方にゆっくりと目を向ける中也さんに見られるのがとても恥ずかしくなって、先程中也さんから私を助けてくれた絆創膏男の後ろに逃げ込んだ。
「ち、蝶!!?」
「あ、おいっ!!」
「これは珍しい…」
勿論中也さんから逃げるためというのもあったが、中也さん以外の人にこんなにドキドキさせられるだなんて認めたくなくて、その犯人に顔を見せないでいいようそこに隠れたのだ。
『中也さんこっち向かないで!!』
「なっ……ひ、広津さん、俺はどうすれば!?」
「暫くそっとしておいてさしあげて、また後で謝られるのがよろしいかと」
「あ、あああ……」
この世の終わりといったようなオーラを放ちながら固まる中也さんだったが、今の余裕のない私には彼をフォローすることは出来ない。
「な、なんかすんません?」
絆創膏男…基、立原道造。
もしかしたら天然だけど、結構いい人なのかもしれない。
「おい、そろそろお前も戻っ」
『立原もこっち向くの禁止!!』
「はああ!!?」
何故か驚いたのは中也さんだった。