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第23章 知らなかったこと


うん、知ってたよ。
織田作ってこういう人…こういう、天然な人。

『…』

「……だ、抱っ…!?…そ、そういうことだったのか!?そうなのか蝶!!?」

『織田作最低』

「悪いって、つい…お前が恥ずかしがってて言おうにも言えないんだろうと…」

ピシッと固まる中也さんと私。
そこまで言うか、この男は。

「…蝶、こっちこい」

『嫌です』

「なんで今日はそんな甘えてくれねえんだよ!!?」

「お前が汲み取ってやらなかったからだろう?」

くそおおおお!!!!
と涙目になって喚く中也さんに、素直にそちらに行けない私。

だって、あんなにずっと見つめて…見つめられて。
……もしかして嫌だった?

なんて、また悪い癖が出たりして。

『…やっぱり織田作でもいい』

「!……暴れるなよ?」

『え…きゃ、っ…!!?』

聞こえないくらいの声で言ったはずだったのに。
それをちゃんと聞き取ったかと思いきや、すぐさま私を抱えあげる織田作。

突然高くなった視線に思わず両手でしがみつく。

「……そんな目で見るなって、お前に返してやるためにしたんだから」

かと思いきや、腕を離させるように私を自身から遠ざけさせる織田作…と、新しく私を支える手。

『ひゃ…っ!?、あ…へ、ええ!?』

すぐに織田作の手が離されて、そのままくすぐったいところを支えられ、またもや視界が移動する。

ふと掠める、嗅ぎなれた香り。
そして、先程までよりもまだまだ小さくて未熟なはずなのに…しっかりした身体。

一瞬、呼吸をすることさえ忘れてしまうほどの衝撃。

「…おかえり」

『!!!…へ……あ、…う…っ…!?』

「なんでそんな動揺してんだよ…まあ、俺はこっち派なんだがな」

フワリと浮いて勝手に方向を変える体。
それにぎゅ、と目を瞑ると、支えられる位置が変わって中也さんの顔が目の前に…?

『………』

「な、中原君…?…蝶ちゃん、そのままだと逆に死んじゃいそ…って息してなくないですか!!?」

「あらら…幸せ過ぎてってやつかな」

「どう考えても照れすぎてキャパオーバーしてるだけだろう?」

「蝶!?おい、息!!呼吸忘れて……戻ってこねえと買ってきた分のプリン食べられな『オキマシタ…』あいっ変わらず早ぇなそういうとこ…」

心臓に悪すぎる。
しばらくお姫様抱っこに耐性がつかないきっかけになりました。
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