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第23章 知らなかったこと


「織田作さん。……織田作さん?」

どうされました?
何度が聞いたことのある声に、何度が見た事のある顔。
私も知っているその人が、近くに織田作と一緒にいる…のだろうか。

中也さんと拠点に戻って執務室へ向かっていると、知っている気配が…三つ。

「ああ、いや…数日ぶりに見かけたなと思っ「蝶ちゃん…!!!♡」…はぁ…」

「!!?げっ、太宰…!」

『織田作さんに“安吾さん”!…と、太宰さん』

「私ついで扱いなの!?」

太宰さんや織田作と一緒にいるうちに会うようになった、二年ほど前に組織に所属することになった坂口安吾さん。
よく言って真面目人、言い方を変えると少し堅物…だと誰かが言っていた。

「ほら、そうやってすぐに白石さんに構ってばかりだから敬遠されるんですよ…甘えてばかりでベタベタするからです」

「そ、そんなことないよ安吾!?」

『あ、甘えてベタベタしてたら嫌われ…は、はわ…っ』

「「「え゛っ」」」

私が一人で衝撃を受けていると、濁った反応を見せる安吾さんと太宰さん…そして中也さん。

『き、嫌わ…嫌われ…っ…?ち、ちち…ちゅ…うやさ…っ』

「あああああ泣くな泣くな泣くな!!?お前がんなことしてきたところで嬉しいだけだから間に受けるんじゃねえよ!?」

嬉しい…嬉しい?

『…甘えて?ベタベタ?』

「……何、すんのか?ドンと来いよ」

『……』

言われるがままに、口にしようとした。
しかしあまりにも恥ずかしすぎるそれに耐えられなくなって、察してくださいと言わんばかりに両手を彼に向けて伸ばしてみる。

「……蝶さん?」

「え…ちょっと中也、もしかして君分かってないの?あれだよあれ」

「あれ!?…あれって…え!?」

「生き地獄みたいなことさせてやるなよ中原、とっとと抱「織田作さんそれ言っちゃダメなやつです多分!!」そうなのか…?」

ただ一人分かっていない、私の目の前の人物。
そろそろどうにもできなくなった腕を下ろして、さっさと織田作の背中に隠れに行く。

「あっ、こら、恥ずかしいからって俺の後ろに隠れるなこの恥ずかしがり屋」

『…面白がってるでしょ』

「いいや?なんなら俺がしてもいいんだぞ?」

『中也さんじゃなきゃ嫌』

「だよな、知ってた…中原、そこまで鈍感なのもどうかと思うぞ?“抱っこ”くらいしてやってもい………あ、悪い」
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