第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
「そんなっ…俺はてっきり、俺の事が嫌で信用ならねえからだとばかり」
「あいつは確かに、境遇のせいもあるが人を簡単には信用しない。だがまあ、俺が絡めば話は別だ。さっきだって手前が出て言った後に素直に白状しやがったよ」
立原が悪いわけじゃない。
俺が頭に血の上りやすい性格だって分かってっから、あいつはあんだけ必死に訴えかけてきたのだろう。
蝶の思っている通り、あいつからお願いされてなきゃ絶対にもう手が出てる。
「幹部が絡めば別っつっても、そんな簡単に?ちょっと前まですっげえ言い合いし続けてた相手をですよ?」
「立原に関しちゃ、俺が何も言わなくたって大丈夫だったとは思うがな。手前は言い合ってたと言ってるが、あいつからしてみりゃ恐らく半分はからかってただけだ、珍しいことに」
蝶がムキになってからかうだなんて本当に中々ない事なのだが。
「からかっ!?…そう言われればそんな気がしてきました」
「だろ?そのへんがまあ、俺がいねえところであいつが見せる子供らしさだよ。そう考えれば打ち解けてるっていう風にも考えられる。何より蝶は、自分と同じ部分がある奴や後輩的立場にあたるような奴にはキツくなれねえからな」
恐らく任務中に見たのだろう、立原が二丁銃を扱うところを。
蝶はそんな事だけでも親近感を持つような奴だし、いくら相手が気に食わなくたって尊敬出来るところを探すような人間だ。
「それで俺の戦い方を……俺、あいつに頭上がりそうにないです」
立原の発言にまた笑いが零れた。
「だろ?あいつは本当、そこらの奴よりよっぽど人間出来てるよ。すっげえ怖い目に遭わされてきてんのにさ」
「どうやって謝ればいいっすかね、俺。恥ずかしい事に頭が回らないみたいっす」
本気で後悔しているのだろう。
しかしこいつに一方的に謝られたって、多分蝶は余計に気を遣う。
折角蝶が出会えた、子供らしくはしゃげるような相手だ。
「……手前にはまず謝らず、別の方法をとってもらう。あいつは一方的に謝られんのを嫌うんだよ」
「でもそれじゃあ俺の気がっ…」
「だから、まずはっつってんだろうが。手前は蝶と“仲直り”をしてくれればいい。あいつは普段お前が言うように子供らしくはないが、そこは俺が手助けしてやっから。」
俺の前じゃ見栄なんて張れねえからな、あいつは。
「ぐ、具体的にはどうすれば?」