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第23章 知らなかったこと


「おやおや…蝶ちゃん、体調の方は?」

『…治りました』

「ふむ…治った………割には真っ赤だよ?顔」

『中也さんのせいです』

「俺何もしてねえよな!?」

いいや、間違いなく中也さんのせいだこれは。
首領にバレるだなんて…この私が隠せないレベルで動揺させられるだなんて。

この人抜きにしてはありえない。

「その割にはまた随分と仲良くなったみたいだね二人とも?…良かったじゃない、蝶ちゃんすごくまた懐いてるみたいだし」

『…変、ですか…?……おかしいです、か?』

こぼした声に、三人だけの首領室にて、私以外の二人がきょとんとする。

すこし目を伏せがちになっていたけれど、二人の反応が感じられ、見てみれば目を丸くされていた。

「いいや?全然…ただ、良かったなって」

「そうそう、寧ろまだまだ足りないくらいさ!もっともっと我儘言ったりしちゃっていいのだよ?」

『…例えば…?』

聞き返すと共にピシリと固まる二人。

…拙かった?

「た、例えば…そうだね、例えば………そう!中也君にどこか連れて行って欲しいとか…仕事減らしてもっと遊んでほしいとか!」

『もう十分色々してもらってます、私…』

「そういうのは関係ねえんだって…何かこう、ほら……お前が頼みにくいくらいのハードルのもん持ってこいって!」

なんという無茶振りだろう…というか、私の体調の報告のために来たはずなのにどうしてこんなことになった。

『……じゃ、あ…その…』

分からない。
何を言えばいいのか…何を言うのが正解なのか。

だから私は、ずるい方法をとる。
分からないなら…もう一度、“聞いてみればいい”。

「な、なんだ?何でも大歓迎だか____」

『____中也さんの我儘を聞きたいです…』

「「えっ」」

だって、なんだかんだで聞いたことがない気がする。
一緒にいるのは私の我儘でもあるわけであるし…それに、私はこの人に何も返せていないから。

『私に我儘、言ってください』

「…まさかそうくるとは…やるねえ蝶ちゃん」

「い、いや…お前に我儘って……既に満たされすぎててこれ以上の幸せ考えられねえっつうか…」

同じじゃない、私と。
なんて思ったのはここまでの話。

「……そうだな…」

____移動する時に手ぇ繋ぐのと、指輪を外に出しておくこと

『…手…?………へ…!?』
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