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第23章 知らなかったこと


『下がりました』

「二分だけな?」

『…下がっ「まだ熱の域なんだよ、寝てろ」……』

薬を飲んだ次の日。
特に症状にこれといった変化は…ない。

「そもそも薬自体効きにくいんだろ?わかってたことじゃねえか」

『…中也さんのお手伝「ダメだ」き、今日はいいでしょう…?こんなのいつ治るか目処だってたたないのに』

「……そこまで言うなら、まず朝食を摂りにいくぞ…立てるか」

ベッドから出る許可が降りた瞬間だった。
目を輝かせながら、状態を起こして立ち上がる。

『ほ、ほら中也さん…!立つくらいのことできますよ!』

「様子がおかしかったらすぐに俺が担ぐからな?」

『なりませんってそんなこと』

中也さんから差し出された手を取れば、そのまま私のペースに合わせて横を歩く中也さん。

外気に触れてるからか、少し体感温度は冷えたような気がする。
それから、ふらつくとまでは行かないけれど…どこかふわふわする感覚。

熱って、こんなのだっけ…

「…何食う?何か食べれそうなもの…は…」

『……?…ち、よ…中也さんが欲し…』

「………俺は食いもんじゃねえんですが…んで、何食う?」

『…中也さん食べ「俺のこと食べちまったら、俺と一緒に寝れなくなるぞ?」!!じゃ、あ…いらない』

「…」

中也さんに怪訝な顔をしてのぞき込まれ、それに反応することもできずに目を逸らす。

「……じゃあ俺が食わせてやれば、食べてくれる?」

『…?中也さんが…?』

「昨日のゼリーん時みたいに」

うまく働かない頭で考える。
そういえば、昨日薬を飲めたのはうまく飲ませてもらえたから。

それに、なんだかあの感覚は懐かしくて…ホントの子供に戻れたみたいで、嬉しくて。

ひとつ、小さく頷いた。

「よし、じゃあ食べよう…まずちゃんと栄養とらねえとな。ただ、無理して戻しそうになる前に言ってくれよ?」

『…はぁい』

あの人に…私を造った親に甘えるように。
中也さんという白石蝶の親に、驚く程素直に甘えられた。

食べさせてもらうのも、器用に私の食べやすい量ずつにしてもらえて、なんで分かるんだろう、なんて考えながらもやっぱりどこか嬉しくて。

「お前がさっきみたいに色々言ってくれて嬉しいよ、俺は」

『へ…』

「初めてだからよ、ここまで意思表示してくれてんの」

どこか、頭が冴えてきたような気がした。
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