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第23章 知らなかったこと


『………なにこれ』

翌日…中也さんの執務室を埋める大量の花を目前に、私と中也さんはドアを開けて硬直した。

「いやあ、うちの芥川君がちょっかいかけちゃったお詫びをと…思って私が提案してみたら、こんなことになってしまったのだよね」

横から現れる太宰さん…なんでタイミングよく出てくるのかを彼に聞いたところで、上手くはぐらかされるもの。

『芥川君…?』

「ああ、そういえば初対面だったんだっけ?昨日の例のあの子だよ…芥川龍之介君」

「…その芥川が、どうしてこんなに花を?」

「蝶ちゃんの事についてちゃんと話してあげると、驚く程に尊敬しちゃってね?お詫びと…それから、敬意を表しての花束だそうだ」

最早束どころの騒ぎではないような気が。

というか、どうして私のことを尊敬する…?

「手前あいつになに仕込んだんだよ…」

「仕込んでなんていないさ、ただ、私なら…女性にはこうするかなって」

「あいつは手前に憧れてんだから真似するに決まってんだろんなもん!!?そして度が過ぎる!!!クソ真面目だなぁ手前の部下は!!!」

『!蝶ももっと真面目にならなきゃいけな「なんでお前が反応すんだよ上司様…!!?」ええ!?…あ、…ああ』

忘れてたろ、なんて言う中也さんに誤魔化すこともせずに微笑む。
それにしても花の贈り物…花か…

『……素敵』

「!!?…えっ、蝶…さん!?」

「うんうん、ロマンチックだよね〜♡気に入ってくれたかい蝶ちゃん??」

『とっても』

「素敵って…すて…え、素敵……って…」

一人呆然と立ち尽くす中也さんのことを気にもとめずに気分に浸る。
花は確かに短い命ではあるけれど…それでも、貰って嬉しくないはずがない。

『私なんかに勿体無い…』

「花屋でも開けそうだね、これだけあると」

『…拠点中におすそ分けであ飾り付けていこうかな』

「特別幹部様のご意向なら皆納得だよ」

芥川さんからいただいた数々の花…数日間限定の、拠点内での花祭り。
一人だけでこんなに綺麗な花を占めてしまうなんて勿体無い。

「……俺がお前に花渡したらどうする?」

『!全部プリザーブドにしてから能力使って永久保存を…』

「分かった、お前が本気でやるだろうなってことはよく伝わった……馬鹿みてえな量は用意しねえように気をつけねえとな」

さりげなく馬鹿みたいな、なんて言われてる…
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