第23章 知らなかったこと

｢というわけで、芥川君の処分だけれど…まあ、中原君が存分にしちゃってくれたからね……蝶ちゃんさえよければ、今回限りは大目に見てあげてくれないかい｣

｢…大目にってなんですか、蝶は優しいから許してやっちまうかもしれませんけど俺は根に持ちますよ｣

｢太宰君がかなりきついお灸を据えるだろうから落ち着いて…いやもうほんとこの通り、僕の顔立てて！？｣

最早首領の方が必死になる始末。
これで大丈夫なのかこの組織。

｢あいつの目的が何であれ、蝶がもしこれで殺されでもしてたらどうしたんですか…それでもおかしくないような状況だったんですよ｣

｢……それでも、その彼が味方になってくれれば…心強いとは思わないかい？蝶ちゃんのことだって、守ってくれるようになるかもしれないじゃないか｣

｢！…次こいつに手ぇ出したら、その場で俺に殺す権限を下さい｣

『…中也さ｢いいよ、それなら。本人にもそう伝えよう｣！？なんでそんなこと…っ』

｢お前でなくとも、同士討ちなんかありえねえだろ…あいつが異能力者でさえなけりゃ、とっくにそういう判断にだってなってたかもしれねえんだぞ｣

突出した戦力になるよう育てるつもりで、太宰さんが連れてきた…だから、免れた。
…そういうこと？

『……殺さなくても、いいです…私中也さんのとこ、離れないです…し』

｢おや…そうかいそうかい、そういうことならこちらもそう手配しよう…暫くは任務で別れるような機会も無くすようにするよ｣

｢…言ったからには、勝手に離れたら後で一緒に寝てやらねえからな｣

『い、いいいい今そんな話しなくていいじゃないですか…！！』

｢微笑ましいなぁ…中也君と一緒に寝るのが好きなんだ蝶ちゃん？それなら執務室のベッドももう少し大きいのに変えておこうか｣

『ひゃう！！？…あ、ちが…くない、ですけどちが…っ』

お前が俺のこと大好きなのは誰にでもバレてるから諦めろ、なんて言う中也さんに何も言えなくなる。

｢じゃあ好きじゃねえの？夜別々に寝るか？｣

『え…っ』

｢髪も俺が乾かしてやるの無しにするか…ああ、じゃあ結ぶのもか？｣

『へ…あ、え…』

｢………冗談だからマジで泣きかけんなよ｣

涙目になったのを冷や汗を流して本気で謝られた。
…えっ、もしかして今私からかわれてた？

『…中也さん大人気ないです』

｢ごめんって｣