第23章 知らなかったこと
私が幹部職に就任してから数日経ったある日のこと。
「…やっぱりこれが一番いいな、違和感が仕事をしてくれねぇ」
『お、ちつかない…』
中也さんの手によって定着させられつつある、私の髪型。
最近は毎日これだ…頭の左上で一つにまとめられていて、動く度に束で揺れるから、なんだか慣れない感覚……というよりは、かなり久しい感覚。
サイドアップなんて…
頭の中で思い浮かべたとある人物の顔を振り払うように、考えるのをやめる。
「これから慣れていけばいいさ…あ、俺毎日こうやって結ぶからな?」
『ふええぇ…ッ』
「…今度またここに付ける飾りでも買いに行くか…折角年頃なんだ、色々試してみた方がいい」
『い、いいです!!もう中也さんから色々貰いすぎてお腹いっぱ「色々やってるんじゃなくて、0から揃えていってるからそう感じるだけだろ」そ、そういう問題じゃ…っ』
「じゃああれだ…お前に色々与えるのが俺の趣味だ」
無理矢理すぎる…と言いかけたものの、確かにそれはそうな気がしてしまって反論すらできないこの状況。
「納得しろ…つうかいいだろ、んなこと気にしなくても。元々俺がお前にうちにいてくれって頼んでる身な上に、了承も無しに攫ってきてるんだから」
『………悪く思うなよって一言言ってたくせに』
私が嫌がってるかどうか、確認してから連れていったくせに。
「何か言ったか?」
『…中也さんが私に甘すぎると思って』
「なんで今まで必要以上に厳しくされてきた奴にまた厳しく当たらなくちゃならねえんだよ…それに蝶は悪い事しねえんだ。何を厳しくする必要がある?」
寧ろお前が甘えてこねえから無理矢理にでも甘やかしてんだよ、と額を指で軽く突かれる。
『……一緒にいてってお願い聞いてもらっ「それは俺の方が先に叶えてもらってるから無し」…じゃ、じゃあ…わ、私に優しくするから…』
「?…変わったこと言うんだなお前…自分だって俺におかしいくらいに優しくするくせに」
『!?…そ、そんなこと出来てな「優しくねえ奴が身代わりになってまで瀕死の状態助けてなんてくれるかよ」…それは…だ、だってあれは…』
「俺よりお前の方がよっぽど優しいって分かってねえな?さては…大事な奴のこと、大事にしたいのは当たり前だろ?」
____大事に思てる奴のこと大事にしたいと思うん当たり前やろ?
また、重なった。