第23章 知らなかったこと

｢さあどうするんだい中也君、女の子に言わせるの？そういうこと｣

｢い、言わせるってなんでそんな｢ああ、それじゃあ蝶ちゃんは太宰君の執務室に移動ということでもいいかもね？｣俺の執務室でお願いします｣

この人今無理矢理言わせた、強硬手段に出た。

｢特別幹部さんにもお願いしないとね？それなら｣

｢！！！…ち、蝶…さん？｣

『！…は…い……？』

｢その…ええっとですね………俺の執務室に…これからもいてもらって、いい…っすか？｣

『…！！！…は、い…はい…ｯ！！』

｢じゃ、後で荷物を中也君のところに運ぶからそれだけよろしくね｣

『首領大好き…』

｢蝶ちゃん…！！！！君のその一言を聞きたくて僕は…！！！！｣

『中也さんと一緒にいさせてくれるの…中也さん大好き…♪』

｢やっぱりそっちなんだね…っ｣

泣き崩れる首領は見えなかったけれど、中也さんの外套を空いている手で掴むと、くるりと中也さんがこちらを向く。

｢……お前、そんなに俺のとこにいてえの？｣

『！…えへ…』

｢…今すげぇいい表情してるよお前｣

困ったように笑われたけれど、そう言われたことが嬉しかった。
中也さんから…表情を褒めてもらえるなんて。

いつも、だいたいは私がこの人に何か隠したりして辛くさせてしまうばかりだったから。

｢ね、蝶ちゃん本当可愛いよね｣

｢ええ、可愛……なに当たり前のこと言ってんですか首領｣

｢遂に開き直ってきたね中也君｣

｢それにこいつは綺麗なんですよ…分かりますか！？他にいないでしょうこんなに癒してくるような奴！！｣

｢あ、あああ熱くなるのは分かるけど落ち着いて落ち着いて…！蝶ちゃんオーバーヒートしちゃってるから！｣

｢え？｣

ﾌﾟｼｭｳ、と煙が上がるほどには熱が集まりすぎていた。

褒められなれてないのに、こんなにストレートにそんなことばかり言われると…どうしていいか分からない。

『ち、ちち…中也、さんって……そ、そういうこと…言うの、慣れて…？』

｢いやいや蝶ちゃん、君以外に対してこんなことばかり言う中也君、見たことある？あれだけいつも一緒にいて｣

『あ…え、と……あれ、おかし……い、いつそんなことばっか言って…』

｢なんで俺がお前以外の奴にんなこと言うんだよ？誰かいるか？そんな奴｣

全国の女性に殺されるかもしれないですこの人。