第23章 知らなかったこと
中也さんの腕の中で声を殺しながら、それでも溢れる涙を止められなくて、また子供みたいに泣きじゃくった。
中也さんはそれでも一緒にいてくれて、何度も何度も私にまたちゃんと想いを伝えてくれて…泣き止むまでずっと、離さないでいてくれた。
「…じゃあ後は任せる。……大事にしてやれよ」
「!…助かった」
いつの間にか織田作はいなくなっていて、私が落ち着いた頃に中也さんから、ここ一週間のポートマフィアの内情を教えられる。
まず、一番大きい動きといえば…
『え…っ、首領が、森さんに…?』
「そう…前のあの人が横死してな。森さんを任命したそうだ」
『……そ、っか…そっか…』
どこか、解放されたような。
気を張り続けなくても良くなったような。
「もう大丈夫、無茶なことはさせられない…お前も、俺も」
人質に取られることも…脅されることも。
人が一人亡くなっているのにこんな風に思っていいのだろうか…なんて考えることもなく、ただただその事実に安堵した自分がいた。
「……それと、デカい話があと二つあるんだがな?…まず、太宰の奴が五大幹部に就任した」
『!…太宰さんが、幹部に?』
当然といえば当然、だろうか。
私の中では、確かに合理的な判断であると思うし、あの人が権力を持てば他への指示がよく回るようになるとも思うから。
なんて一人で納得している最中。
知らされた二つ目の内容。
「そしてもう一つなんだが…」
____白石 蝶が、五大幹部のひとつ上の役職…“特別幹部”に就任した。
『へえ、特別幹部に白い…、…?…え、っと…中也さん…?……同姓同名…の人…?』
「俺が付けた名前なのにか?」
『………いや、あの…ごめんなさい、私ちょっとわけがわからなくて…』
「…昇任おめでとう、蝶。これからは任務よりも書類や情報操作に回されるぞ…あと、部下である俺や太宰の野郎をこき使い放題だ」
意 味 が わ か ら な い
『え、えっと…ええっと…?だ、だって私中也さんよりも弱いのに…?それなら中也さんが…』
「能力使えば俺なんかよりよっぽどできるだろお前は…頭だって太宰の比じゃねえ。実質組織のNo.2になる……それと」
告げられた言葉に、また肩の荷がおりる。
そっか、その為に皆…森さんや、太宰さんが…中也さんが
__殺しの任務はもう来ない…零はこれで、もういなくなる