第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
「立原、ちょっと着いてこい」
医務室から出て立原を見つけ、自分自身の執務室へと連れて行く。
医務室からは少々距離があり、エレベーターで上に上がらなければ行けないため、蝶に気付かれないよう話をするにはうってつけの場所であると考えたからだ。
緊張した様子で堅くなってる立原に椅子に座るよう促し、自分はその椅子と向かい合わせになるよう、仮眠用のソファに座った。
「あの、幹部…さっきの様子見て俺、まだ混乱してる部分があるんですが」
「さっきの?」
「その、あの餓鬼……白石?と抱き合って…」
少し顔を赤らめて説明する立原。
おい待て、なんで手前が赤くなってやがる。
「ああ、手前はあいつと初対面だったか。つか餓鬼って…それで蝶の奴が絆創膏男って言ってたんだな、想像着いた」
蝶が立原と言い合っている様子を思い浮かべてまた少し面白くなった。
立原は何で俺が笑っているのか分からないようで、困惑した顔をこちらに向けている。
「お、怒らないんすか?」
「怒るって、俺がか?蝶が言い合いするなんて滅多になくてな、少し面白いんだよ…でもま、あんまりあいつに餓鬼って言ってやらねえでくれるか。蝶は、普通に大人になれるような環境で育ってこなかったからよ」
蝶は確かにまだ子供だが、俺と出会うまで…それから俺と離れてた四年間、子供になりきれず、中途半端に大人にならざるを得なかった奴だ。
蝶の事を知っている人間ならそれが分かるのだが、立原は知らないから仕方ねえ。
「手前、蝶を初めて見た時どう思った?銃使ってるところも見たんだろうが、それだけじゃなくて、喋り方とか雰囲気とかを見てだ」
「初めて見て…今でこそ餓鬼ってムキになって言ってはいますが、正直子供らしくないと思いました。銃捌きは勿論ですが、見た目の割に妙に大人びた姿しか見せませんし、何より可愛げがありません」
可愛げがないと聞いて更に自分のツボに入る。
「はは!可愛げがねえか…でも手前さっき見たろ?蝶が、それこそ手前の言うただの餓鬼になったところ」
「さっき見たって……え、もしかしてあれっ」
「やっと分かったか。あいつ、俺の前でくらいじゃねえと本当に強情なやつなんだよ。もう分かってるとは思うがすっげえ見栄っ張りな上、あいつの強さがそれを見栄にとどめることを許さねえ」
小さい頃の蝶を思い浮かべて、俺は本題に入る事にした