第23章 知らなかったこと
「派手にやったなぁ…まあこれで九割方は終わったんじゃない?」
『…私達はどうすれば?』
「そうだねぇ…あいつのところには私がいた方がいい気はするけど………この怖い人達相手に蝶ちゃん一人置いていくのもなぁ…」
見据える先には三人…殺意がこちらに向けられている。
『怖いなんて思ってないくせに…いいですよ、先に行っててもらって。私もすぐに追いつきます』
「!あらら、スイッチ入っちゃった?…じゃあ中也の所に行くとしますか」
『…私の方が先に着きますもん』
太宰さんは身軽に下の階へと移動していき、私からすぐに遠ざかる。
「おいおい、お嬢ちゃん…君、殺し屋か何かかい?」
「どこの組のもんだよ」
『…ポートマフィア』
「「「!!!」」」
確かこの組織は…うちの情報を盗んでどこかと取引をしようと目論んでいたとかなんとか。
明らかに動揺した相手を見据えると、その中の二人が一斉に掴みかかってくる。
のだけれど。
捕まえたとでも思ったのだろうか。
『…スマートじゃないなあ…ダメじゃないですかそんな捕まえ方じゃ』
相手が気づいた時には、私は掴みかかってきたうちの片方の男の頭の上。
少し悪い気もしたけれど、靴のままで頭の上に立つ。
「!?異能力者!!?」
「テレポートか!!?」
『はずれ…“零”点ですね、三人とも』
「「「ガ、っ、…~~~ッッ!!!!」」」
ごめんなさい、でも私…貴方達の抜き取った情報の中にあの人のものが少しでも混じっていたのなら、多分もっともっといたぶってやってたと思うから。
相手の周りから酸素を奪って、そのまま窒息…脈が止まったのを確認して、私も下の階へと降りていく。
途中でまだ残党がいるかどうかも確認していけば、誰とも遭遇せずに一階へ…着いたのはいい。
…おかしいな、やけに静かだ。
なんの音も、聞こえない…?
一階に…否、地下に辿り着いてようやく分かった。
どうしてこんなに静かなのか…
『だ、ざいさ…?…え、…嘘…』
血を流して気を失った太宰さんと…それから、相手に首を掴んで持ち上げられている大好きな人。
「たった二人で俺に挑むとは大した度胸じゃないか…けど、どうした?そんなもんかよポートマフィ…っ?……おお、俺としたことが…小さな兎を見逃すところだったな」
「ぐ、ッ!?…っ、…!!?蝶!!?来るな!!!」