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第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ


涙でぼろぼろになった顔を中也さんの胸に埋めて、これまでにないくらいに強く、強く中也さんを抱きしめて。

『嫌いじゃないの、嫌じゃないのっ…私、中也さんが大好きなだけなの、っ……』

彼もそれに応えるように、私を強く抱きしめてくれて。

「本当、馬鹿だよお前は…俺の事が嫌いじゃないってんなら、絶対にもうこんな馬鹿げた事しようとか考えんな。」

『うん、嫌いじゃない…』

「嫌じゃないんなら、俺から離れていこうとすんじゃねえ。誰に何を言われたって、俺はお前を手放さない。お前が嫌になったって、俺は絶対離れねえ」

『嫌になんてならないっ、絶対ならない…!』

「……俺が好きなら、俺の前からいなくなるんじゃねえ。俺の事を、忘れようとなんかするんじゃねえっ…俺はお前といて辛くなんてない、苦しくなんてない。」

『…っ、………好き、大好きっ…ごめんなさい、もうしない…』

この人は本当に暖かい。
怖い記憶なんか何処かに追いやっちゃうように、暖かくって、眩しくって。

「それに…俺が本当に苦しい時や辛い時に、お前がいてくれなくってどうすんだよ?お前は俺のものなんだってお前は言ったよな……俺だって、他の誰でもないお前のものだ。お前が…蝶がいなけりゃ、俺には何にもねえんだよ」

『!…私も、中也さんがいなきゃ……何もない。中也さん、私の事っ』

「俺はお前を、嫌いになんかならねえから。そんな顔すんじゃねえよ…俺の事が好きなままでいてくれてる蝶の事を、嫌いになんかなれるわけねえだろっ、馬鹿が」

中也さんの力強くも震える腕は、それだけで彼の心情を私に伝えるのには十分なものだった。
彼は私が思っている事なんて、すぐに見抜けてしまうのだろうか。

『…うん、好きだよ、中也さん。中也さんが思ってるよりずっと、ずっと中也さんの事が大好き』

もう、これが恋愛感情だとかそうじゃないだとか、今はそんな事どうでもいい。
ただ貴方が愛しくて。

何度言っても言い足りないくらいに、どうしようもなく貴方が好きで、大好きで。

「俺だってそうだ、何回だって答えてやる。お前が言うだけ、俺もそれだけ思ってるって、うるせえくらいに言い続けて、分からせてやる」

おでことおでこをくっつけて、お互いの目を見つめ合って。

____白石 蝶は、貴方のものです。

もう中也さんは、怒ってなんていなかった。


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