第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
『よかったわねえ絆創膏男さん、私が今ポートマフィアの人間じゃなくって。もしも私が今もここの人間なら、私にその気がなくっても貴方はそんな大口叩けてなかったでしょう?』
広津さんや銀さんは別だけど、と付け足して言ってやれば心底いらいらしたような彼。
本当に挑発のしがいがある。
「はっ、そんな事言ったって、今はもうポートマフィアじゃねえんだろ?尻尾巻いて逃げたんだかドジって離れる事になったんだか知らねえけど、やっぱり餓鬼なんかじゃあ力不足だったって事…お、おい?」
ドジって離れる事になった…うん、そうだよ。
任務でも何でもない時に、本当にただの私のドジで。
餓鬼……子供、力不足。
自分のミスで離れることになった。
やっぱ、傍から見てもそうだよね。
分かってる、この人には悪気なんてなくて、しかも私が挑発したからこんな事を言ってるだけなんだって。
だけど、中也さんと一緒にいない時に“そこ”を責められるのは、私には一番よく効くんだ。
『……二丁銃、筋は中々いいと思います。後は撃つ時に下半身をもっと安定させられれば、もっと思ったような弾が撃てるかと…じゃ、私はこの辺で失礼しますね!今度また何か甘いものでも持ってきますよ。じゃあまた』
絆創膏男は、私はああは言ったけれど武闘派組の十人長なだけあって、そこそこの銃の腕前だった。
戦闘スタイルが同じだから、私からなんて嫌だろうけれどアドバイスくらいしたっていいだろう。
そっちの話に持っていきでもしなきゃ、人前で暗くなんてなっていられないもの。
広津さんと銀さんにもそれだけ言って、とにかくその場から離れたくなったためそこから歩いて立ち去る。
拠点の中に宛があるわけでもなければ中也さんの家に帰る気にもなれない。
そんな私は、先程人のいなかった医務室へと歩を進めることにした。
「蝶ちゃん、気にしなくても君の事を責める人間はここにはいないから…はぁ、立原君。後で謝っておいたほうがいい」
「は…あいつ、何でいきなりあんな……うおっ!?さっきから何なんだよぎ…っ、んな本気で殺気向けんなって」
広津さん達の声は段々と聞こえなくなっていった。
聞きたくない、もう、何にも聞きたくない。
あんな思い、もうしたくない。
思い出したくなんてない。
『……っ、離れたく、ないっ…………』
____もう二度と、あんな思いは…
