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第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ


『…まあ広津さん、そろそろ拠点に戻りましょう。移動するのも大変でしょうし、送りますよ』

「噂には聞いていたが、本当に強くなったんだね」

『いや、まあ…ちょっとだけですが』

なんというか、広津さんはこう、中也さんみたいに希に真っ直ぐ褒めてくださる人だから…敵わない。

私が送ると言えば、何の事だかさっぱり分かっていない様子の皆さん。
とりあえず芥川さんと樋口さんのいる部屋に全員入ってもらって、ポートマフィア拠点の医務室に通じる扉を作った。

「白い……蝶が、扉に?」

扉を開いて拠点の医務室に通じているのを見せると、能力について首領から聞いていたという広津さんも驚いている。
そしてこれには、絆創膏男も口を開けて立ち尽くしていた。

『これなら芥川さんをすぐに安全なところに送れますからね。私は最後に入らせていただきますから、皆さん先に入ってください』

芥川さんの寝台を最初に運び込んで皆扉を潜っていく。
私が入る前に絆創膏男がチラチラとこちらを見ながら前を通りかける。

『……嫌ならお一人だけ置いて帰りますが』

「い、嫌じゃねえよ!!誰が言ったんだんな事っ」

なら何で一瞬立ち止まったのよと思いつつも、彼が中に入った後に私も入り、扉を消した。


医務室の医療機器に再び芥川さんを繋ぐ人や寝台を元に戻す人、そして首領に報告する人に別れて解散となる。

勿論私は首領の部屋へと付いていく事になった。

先程までいた敵のアジトや誰もいなかった医務室とは違い、廊下に出ると明かりがついていて目を細める。
そして明るさに目がなれてきた頃、ようやく久しぶりに目にした広津さんや銀さんの顔がはっきりと見えた。

樋口さんは私達を代表して一人で先に首領に報告に行ってしまったので、再び懐かしい気分になる。

『銀さんすっごい身長伸びましたよね?私最初見た時びっくりしちゃいましたよ』

なんて言えば、分かりにくいけれど少し頬を赤くする銀さん。
それから当然といったように再び横やりを入れる絆創膏男。

「お前がひっくいだけなんじゃねえのかよチビ。やっぱ餓鬼は餓鬼だな」

初めてちゃんと見えた絆創膏男の顔は、とても私のことを馬鹿にした様子だった。

『でも貴方より動けるし、貴方より恐らく頭もきれるわよ』

「くっ、ほんっと可愛げねえこいつっ…」

貴方に可愛いなんて思われたくなんてないわよ。
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