第22章 云いたかったこと
「調査には少しだけ安吾や森さんにも協力してもらっててね?」
あと、フランシスさんも。
食い気味で協力してくれたらしい。
「…その茅野ちゃん、が触手を、ね……糸成君のようにかい?」
『……後天的に移植するタイプ』
「それって、かなり体に負担がかかるのだろう?それに、ちゃんとメンテナンスしないと命に関わるようなものだって」
『…』
「……助けてあげたら?他の誰でもない、君が。…本当はできちゃうんでしょ?本人の意思を無視しちゃえば…“根付いてしまった触手を能力で取り除く”ことが」
そう、太宰さんの言う通り。
私にはそれが出来る…しかし、カエデちゃんの意思が分からない。
「…こういう時、中也ならなんて言うだろうね?」
『!…中也、さん…?』
「そう、中也。…蝶ちゃんがやるべきだと思ったことをやれって言うんじゃないかな」
違う?
とにっこり微笑む太宰さんに、何だか少しだけ安心したような気がした。
違わない…だって、私は彼女に……カエデちゃんに、死んでほしくない。
もっといっぱい一緒に笑って、もっともっと友達になっていきたい。
生きててほしい。
私の意思ある行動ならば…意思もなくやろうとしてることでないのであれば、あの人はきっと私を批判しないし否定しない。
他の誰が…例えカエデが私を拒んだとしても。
彼は絶対に、私から離れない。
『………だざ、いさん…』
「…どうしたの、また泣いちゃって…可愛い顔がぐちゃぐちゃじゃあないか」
『…わ、たし…また中也、さんのとこ……行けなかったよ…っ、ま、た…ッ…中也さん、とこ…最初に行けなかった…っ!!』
「大丈夫、誰も君を責めないよ。中也もだ…心配かけたくなかったんだろう?分かるよ」
言われた言葉に拍子抜けして、ようやっと太宰さんの目を見る。
『分か、るの…?なんで……?』
「ふふ…何年の付き合いだと思ってるの?……あいつは君の親じゃないか」
『!………怒らな「怒らない」…太宰さんのとこに来ちゃったのに…?』
「大丈夫。怒らない…君の選んだ男だ、安心したまえ。馬鹿みたいに懐の広い奴なんだろう?」
まあ、私程ではないけど
なんて付け足して、私に言い聞かせる太宰さん。
仲悪いのに…言ってること、中也さんと同じだよ。
「…あいつのとこ、行ってきたら?ほんとは蝶ちゃんが一番会いたいんだから」