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第21章 親と子


「で?よく出来た娘さんにお褒めの言葉でもかけてあげないの中也さんは?」

『ちょっと何言い出すのカルマ、やめて真に受けるから』

「お褒めの言葉って…俺常に蝶の事褒め倒してるような気がするんだがな?」

「「「あ、ほんとだこの人」」」

元々褒めてもらうためにテスト受けてるわけでもないんだし。
というか…

『…なんで、私が褒められる必要が?』

口にすると、皆がポカンとした顔でこちらを見る。
そして私の目の前に駆け寄ってくるカエデちゃん、倉橋ちゃん、前原君の三人。

「なんでって、蝶ちゃんテスト全部満点なんだよ!?成績だって、仕事の都合で学校来れない日もあるのにいいんだよ!!?」

「そうそう、しかもいつもいつも一役買って出てくれてすげぇ助けられてんのに!!!」

「こんなに色々あるのに中原さんから何も無いの!?何も!!?」

『え、いやその…』

勢いに圧倒されて上手く言葉が紡げない。
そもそも私からしてみれば、やはり一番に出てくるのは…中也に褒めて欲しさに行動しているわけではないということ。

なのにどうして、こんなにもざわつく?
どうしてこんなにも…殺せんせーや烏間先生、イリーナ先生までもが目を丸くする?

『て、テストも…他も……中也さんに褒めてもらうためにやってはない…から………褒めてもらうようなものなの…?』

「何蝶ちゃんなんでそんなにいい子なの!?褒めてもらうようなものだよ!!?」

何故か号泣し始める三人。

状況についていけない。

「だいたいこの学校でそんな点数ばっか取れる奴なんかいねえってのに…他でも十分すげえのに、勉強でここまで出来たら褒め言葉しか出てこねえだろ!!?」

「なんで中原さんそこに関して褒めないの!!?」

『ええ!?ちょっ、中也は何も悪くな「「「いい子だからちょっと静かにしてて!!!」」」…はい……』

押しに負けた。
またか、またなのか。

ちらちらと中也の方を見てみるも、ため息を吐きながら頭に手を乗せている。
私は不満になんて思ってないのに、誤解されちゃったらどうしよう…?

なんて考え込んでいるときだった。

「相変わらず揃ってうっせぇな手前ら………あんまりそこを褒めすぎると蝶が嫌がるんじゃねえかと思っただけだよ」

今度は私が心底驚かされる番だった。

私が…嫌がる?
…ああそっか、そういうことか。
優しい人だな…
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