第21章 親と子
E組の校舎に移動すれば、何故だか大型のショベルカーがとまっている。
挙句、壊されかけている校舎…ここは盗聴通り。
そして電話と並行して、E組の現状も把握はしていたのだけれど。
『…っ、浅野さん!!』
「!白石さん……どうして、ここに?」
『どうしてって、貴方が無理をしそうな気が…して……今すぐ止めましょう、?こんなこと…貴方のような人が、こんなところで死んじゃダメなはずです…』
教室の中。
残った参考書は一冊のみ…爆破されたような殺せんせーの変形具合。
恐らく、ギリギリだった。
「白石さん…君は何か勘違いをしていないかい?私は君にそこまで言ってもらえるような人間じゃあない…噂はかねがね聞いているだろう」
乾いたような笑みを見せる浅野さんに胸が締め付けられた。
『そんなこと……っ、どうしても浅野さんが引かないのであれば、私が代わりに爆破を受けますよ』
「にゅ!?白石さん、何を馬鹿な事を言って『人が一人命を投げ出そうとしてるって時に馬鹿も賢いもあるんですか!!』それは…しかし君がそれをする必要は無いはずだ!!」
『…私の能力は知っているでしょう、浅野さん?私が貴方を…恩人を放っておくとでも思うんですか』
「……恩人、とは…大層な言われようだ。……私はそんなに出来た人間じゃあない、君と違ってね」
私の横を通り過ぎていく浅野さん。
手で直接止める間もなく参考書を開き、手榴弾が爆発する。
しかしその爆発は、手榴弾を厚い壁で覆うことによって遮られた。
『……知ってます、ちゃんと…いえ、知りました。…けど、それでも貴方は私の恩人なんです』
「………白石さん…ふらついている……君、この能力は…血液を消費するのでは?」
『少し、浅野さんが早すぎて…血液の消費を抑える暇がありませんでした…』
ヘラリと微笑んでから、重力に従って膝を崩す。
それを支えるように真っ先にこちらに来てくれたのは、浅野さんだった。
「中原さんから止められていただろう、その能力は…私の用意したあの威力の爆発を、あの近距離で抑え込むだなんて…」
『…中也の攻撃に比べたら全然ですよ、あんなの………っ、私、学校なんて通えたのも…行事に参加できたのも、先生が勉強見てくれたのも…学校で友達ができたのも、全部全部、初めてだったんです』
「!!…何を、突然……?」
