第21章 親と子
トウェインの一言に、腑に落ちた。
「そ、そりゃ…そうだがそれと怒ることと何の関係が…」
「馬鹿だなぁ立原君、決まってるでしょ…自分から欲しがれないのに中原君の方からそんなこと言われちゃ、もう自分の力じゃどうしようもなくなっちゃうじゃん?……蝶ちゃん、今ほんとに子供になっちゃってるんだから…十五歳の女の子じゃなくて、実質十歳にも満たないくらいの子なんだよ?」
「「!!!」」
「更には身体は思春期に突入しちゃうし、どうすればいいのか分からなくてもやもやイライラしちゃうだろうし……って、なんでそんなポカンとしてるのさ二人とも?」
正直に言うと、驚いた。
これは…蝶が離れたがらなかったことも頷ける。
蝶が、組合の拠点の中で…こいつに頼れたことにも納得がいく。
よく見てる、本当に…蝶の事に関しては特に。
考え方が柔軟というか、視野が広いというか…スナイパーっつう職業の奴らはこうなのか…?
「い、いや…よく分かるな、そんなところまで」
「!まあ、トウェインさんは天才だからね…っていうのもあるけど、ほら……僕ってこれでも、蝶ちゃんの事本気で傷付けたり…それで色々と本音をぶつけられたりしてるからさぁ」
普段接してる女の子が蝶ちゃんくらいの年代だったりそれより上だったりするせいか、どうしても細かいとこまで見るとわかっちゃうんだよ
そうか…“そこ”か。
俺は…そういう経験がほぼ無いに等しい人間だ。
それに、蝶は人生経験も知識も実力もある…だからこそ、それが分かりづらい。
「……経験って大事だな、初めて手前の事尊敬したわ」
「酷いなぁ…まあ、もうちょっとだけ考えてあげてよ、そのへん」
そしたら、もうちょっと蝶ちゃんも生きやすくなるだろうから
……織田のようなことを言うな、こいつも。
そうか…そりゃあ蝶も懐くわけだ。
「お前子供の扱いに慣れてんのか?もしかして」
「子供の扱いって、蝶ちゃんはレディだよ?全く…そういうところだよね、ジャパニーズの悪いところって………まあ僕は、歳の近い兄弟も多かったからね」
思春期だって、そういうわがままなところだって、人一倍見てきている。
そして…それを失う辛さも、人一倍分かっている。
「……何かあったら手前に聞いてみるわ」
「!蝶ちゃんの事撫でさせてくれるならいいよ♪」
「やっぱり却下、野垂れ死ね」
「酷い!」
