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第21章 親と子


「いやあ、でも驚きましたよ俺?まさか中也さんと蝶の二人だけであの組織の壊滅に成功するなんて…それも数時間って」

「ああ、あの最近勢力が伸びてきてたっていう…あれでしょ?異能で色んな組織の重鎮に成りすまして機密情報盗んでたって」

よくそんな組織潰せたね、というトウェインの言葉に、ピクリと眉を動かした。

食べるだけ食べて落ち着いて、俺が蝶を自分の手で寝かしつけたあとの事だ。
ちなみに蝶が眠くなることが分かりきっていたために抱き寄せたのであって、決して下心で触れている訳ではない、決して。

「……その話、こいつが聞いてるところで絶対すんなよ…したら殺す」

「うわぁ、蝶ちゃんと違って殺す宣言されちゃったよ…怒るまでにとどめといてほしいものだよね、全く」

「あ?蝶が何だって?」

聞けば、俺が蝶のデザートを取りに行っている間に、昨日蝶が俺の執務室の前で血を流して倒れていた話をしたところ、本人から俺の目の前では絶対口にしないようにと少し殺気を飛ばされたとか…

まあ、その話を俺にしているあたりがなんとも間抜けな立原コンビなのだが。

「…成程……まあ、良い思い出ではねえな、今世紀最大級に」

「そんなになんすか!?」

「………そういうことだ。久しぶりに蝶からキツい一発決められちまったしな」

頬を指さしながら苦笑いを浮かべれば、どの程度の深刻さだったのかを悟ったのか、二人揃って目を見開かせていた。

「中也さんがそれ…って…!……そんな事、…蝶がですか!?そんなの中也さんが朝に寝ぼけて蝶の胸揉んでた時くらいしか「ちょっと中原君それどういう事!!?」…なかったですよね!?」

「……………理由はどうあれ、あいつのためだったとしてもだ。俺はしねえって約束してたことをしかけちまったからな………ちっせぇ頃に約束してたんだよ、どんな状況に陥っても絶対に手放してやらねえって」

詳しく説明するわけにもいかず、昨日、任務中に蝶の事を本気で怖がらせてしまったのだということだけ説明した。

「…それで、流石に俺もかなりキてよ……縛り付けねえから、怖がらねえで済むところに逃げちまえっつったんだ」

「そりゃ怒るわ、蝶ちゃんも」

「なんでお前そんな事分かんだよ!!?」

「…トウェイン……?」

「ん?…だってさ、蝶ちゃんって自分から欲しがるのも怖がっちゃう子じゃん」
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