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第21章 親と子


あれからというもの。

「あー蝶ちゃん!!!テストお疲れさ「お疲れ蝶、戻ったか!」なっ!?ち、中也君…僕にも蝶ちゃんを…」

『…た、だいま…?…首領、ごめんなさいお邪魔しちゃって』

まさか扉の先が首領の執務室だったなんて。
大事な案件の話でもなさそうだったから中に入るも、入った瞬間に中也が顔をぱっと明るくさせてこちらに来る。

「い、いいんだいいんだ!僕だって大人だからね!」

『?…ち、中也さん…そんな、ずっとずっと撫でなくても…』

「いいじゃねえか、好きだろ?蝶が」

『……はい…』

中也さんがやけに甘やかしてくる。
今までのでもあれだったのが余計に、だ。

なんだろう、このデレデレ期だった中也さんが、突如としてデレンデレン期に突入したような…?

『お仕事中…でした?お話…』

「全然大丈夫だぞ、お前の帰宅以上に大事な仕事なんざ存在しねえよ」

『お仕事はちゃんとしよう…?』

「大丈夫だよ蝶ちゃん、君の帰宅が最優先で間違いない!」

ああ、トップがこれだと部下もこれか…分かったような気がする。

何かを察して、何かを諦めた。

にしても、お仕事でもないのに首領と中也さんが二人きりでお話…?

「……ほら中也君、やっぱり本人にも教えてあげたらどうだい?賢い蝶ちゃんのことだしどうせバレちゃうってば」

『?どういう事です…?』

「……いや…仕事、の事でな?」

中也さんから話された話は、仕事の時間帯の話。
やはり少しでも私の側にいたいらしく、任務時間を昼間に移してほしいと交渉中だったそうだ。

『今でもそうしてるんじゃ…夜中の分は緊急事態とかですし……これ以上お昼に詰め込むのは…』

「けどそれでお前が連れ去られでもしたら『中也さん、それ過保護入ってます』過保護じゃねえよ…」

「……そこで僕の方から提案したのがね?それだったら夜に仕事ある時は、蝶ちゃんの方についてきてもらっちゃえばいいじゃないっていうこ「そんな危ない事をこいつに頼めるわけがないでしょう!!?」…こういう具合なのだよ」

成程、ぜんぶ分かった。
そういうことか。

『…中也さん』

「!なんだ蝶??」

『……蝶、お仕事中も中也さんと一緒にいたい…任務中の中也さん、かっこいいから大好き』

首領からの熱烈なヘルプに見かねて付け足した。

「よし、首領、その方向で」

…嘘じゃないし。
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