第21章 親と子
かなりの量の彼の精を受け止めたところで、いささか心配になった私は、生殖器官に壁を張り、避妊に保険をかけた。
そんな私を抱きしめたまま、痛いくらいに私にくっついて離れないまま…結局朝まで寝ていた中也さん。
私…服着てないんですが。
それほどまでに、彼も必死だったのだろうか。
調べた情報では、確かあの組織は少なくとも八百人程は構成員がいたはずで…あのビルの高さから考えてみても、それ以上の人数を確保して働かせるためには、地下にもう何階か部屋を作らざるを得なかったはずだ。
私が手を出した相手なんか百人にも満たないほどだったはず……それを本当に、文字通り殲滅してしまったのが中也さん。
多分、最後に私が集めてた人達も…殺してた。
私が見えないところで…全員、一人残さず殺してた。
そんな人数を相手に、だ。
異能を使うにしても骨の折れる人数だろうに。
『…怪我、してる……』
やけに夜にシャツを脱がないなと思った。
そういうこと。
『……ッ、ん………った…、はぁ…ッ』
切り傷だろうか…この人の異能があったのに、軽いとはいえこんなに傷が付けられただなんて。
全て移し終えてから傷口を修復し、一息つく。
忘れちゃ、だめだ…今日のこと。
また無茶なことしたんだ、私のために…絶対そうだ。
「ん…っ……蝶…」
『!!…ちゅ、やさん……っ?』
「あ?……!蝶…ああ、良かったいてくれて……はよ」
『え…あ……お、はよ…ござい、ます』
「ん、いい子……ちゃんと寝れたか?魘されたり…怖い夢見たりしなかったか?」
撫で撫でと頭を優しく撫で続けて、中也さんはそんな質問を私に投げかける。
『…見、てない……寝れた…』
「……その格好で寝たのかよお前…風邪は?」
『………ひいてない、です…っ?』
途端に着せられた、彼の上着。
「あんま肌見せんな…って、おい……なんで俺がシャツ脱い…血…?」
バッ、と振り向く中也さん。
それにハッとして、肩に力を入れる。
バレた…忘れてた、これすると中也さん怒るのに。
『…ち、中也さ…ん……あの…勝手に…その、ごめ「ごめん、お前に見せるつもりはなかったんだ」…へ?』
「……ごめんな、心配ばかりかけて…今回はお相子だから怒るのはなしだ………痛い思いさせたな」
ぽふ、と胸元に抱き寄せて、彼はまた私のことを撫で続けた。
