第21章 親と子
「…お前…怖い奴の傍になんかいたく、ねぇだろ…」
『そう、思うなら…っ、怖くなくなるまで一緒にいてよ………っ、勝手に手放さないでよ!!!…わ、たし……の事…独りにしないでよ!!!』
「!!………俺の手が怖いだろ?」
『ッ!!……ぁ…中、也さ…っ』
中也さんが手袋を外して、素手で私の手に触れる。
それに身体を強ばらせると、彼の手が腕を撫でながら伝ってきて、私の頬を優しく撫でた。
「…何された?俺の見た目で…俺の姿で。…俺が普段するようなことを、されたのか?」
『あ…ッ!?…あ、っ…中也さッ!?……ンンっ…ッふ、ぁ…♡…あぁ…っ♡』
「……耳弱いのも相変わらずか…全然変じゃねえよ、お前………そんな顔真っ赤にして。…どうした?…恥ずかしいのか?」
『あ、ぁッ…恥ず、かしぃ……ッ、中也さ、ん…見な「良かった、嫌なんじゃなくて恥ずかしいで…」!!?ッン…っは、ぁっ…はッ♡…中也さ、んッ…あ、っ、や……っす、き…ッ』
「!」
首元を撫でて吸い付いていた動きを止めて、中也さんはまた目を見開く。
『は、…はぁ……ッ、……や、めちゃ…?』
「…何、だよお前…覚えてたのか?んな事……」
嫌だって言ってばっかりだと、辛くなるから。
泣いたら、無理矢理してるみたいで悲しくなるから。
いつかに言われたはずだった、嫌なんじゃなくて、いいんだろうって。
『……中也、さん…撫でて…?』
「…おう」
『………ぎゅうって、するの…そ、れと…』
言いかけて、言葉を紡ぐのを躊躇った。
言えば、多分彼はしてくれる…はずなのに。
断らせてしまったのを思い出して億劫になった。
どうしよう、頑張るって決めたはずなのに…中也さんのために私が今度はって、思ったのに。
『…や、っぱりまた今度に「キス」…!!』
「……しても、いい…ですか」
『………っ、は…い……ッン、…っぅ…』
貪るように注がれるキス。
触れるだけなのに、角度を変えながら何度も何度も口付けられて。
私の後頭部を固定していっぱいしてくるくせして、私の頭撫でるんだもん、この人…
ああ、中也さんだ…本物の中也さんだ。
私に痛い事はしないの……得意分野なはずなのに。
私にはまず、必ずキスをしてくれるの…絶対に頭を撫でてくれるの。
絶対に、私が本気で嫌がる事は、しないの。
『……ッ、怖、かったぁ……っ!!』
