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第21章 親と子


『……ッ、…?……!?』

目が覚めると身体がモニターに繋がれており、そこには私の生命情報が示されていた。

それはいい…そこまではいい。

問題は、私の布団の上で、私の元で寝息を立てているその人だ。

「…中也君、死にそうな顔して僕のところに来ていたよ……最初、君ともっと話をしなくてはと僕の執務室から飛び出して行ったのに」

『!!首、領……っ』

「……うん、僕もマフィアの頭だからね…中也君からちゃんと聞いたよ。“いっぱい血を見てしまった”こと…中也君の側にいるの、怖い?僕に教えてくれないかい…大丈夫、何を言っても…僕が君に手を出そうとでもすれば、いつでも中也君が君を助けてくれるから」

中也さん…この人は、本当に嘘を吐いたのか…自分が忠実に付き従っている首領を相手に。

貴方を苦しめてしまう私なんかのために、貴方は心配出来るのか。

『…怖、い……の。……私、また中也さんのこと泣かせちゃって…中也さ、んに…酷いこと、ばっかり言っちゃっ…て…ッ』

「うん…何が怖い?中也君が怖い?…それとも、自分が怖い?」

『!!!…っ、ぁ…ど、っちも…』

言いかけたところで、ピク、と中也さんの身体が揺れた。

それに思わず、彼に触れていた手をぱっと離す。

すると彼は段々と意識を覚醒させていき、起き上がってこちらを向く。

「あ…ち、よ……ッ!!蝶…!?目ぇ覚めたか!?どこか身体が痛むとか、他に気分が悪いとか…は…っ!!!……悪、い…自分から言ったそばから怖がらせ____」

「…僕、少し退室しておくね」

怒られなかった。
首領からも…中也さんからも。

響き渡った、乾いた音。
痛む掌に、紅くなる彼の頬。

あれ、なんで私…中也さんのこと叩いたんだろう。

「…ち……よ…っ?」

『……な、んで…かっこつけるの……なんで、私のこと解放するとか、言うの』

「え…っ、は…?おい、蝶…お前、何を…」

『なんでそんなに優しいのよ!!?なんで…っ、なんで叩かれても拒絶されても怒らないのよ…!!…な、んで…っ、他の世界に飛んで逃げちゃえばなんて、言っちゃうの…っ?』

見開かれる彼の目。

ああ、そういうことか。
私は心底怖かったんだ…結局はいつもと同じことが。

引き止めてくれなかったことが…酷いことをしてしまう自分が……私を解放してしまうかもしれない彼のことが。
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