第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
「知らねえ顔は全員殺せええ!!」
ファー付きジャケットを着て鼻に絆創膏を張った男の人がそう合図すれば、駆けつけた黒服の武闘派組が銃を一斉乱射し始める。
『てか知らない顔って、それもしかして私もやばいんじゃ…!』
時々こちらにも飛んでくる銃弾を相殺して撃ち落としながら身を潜めていると、広津さんと銀さんの戦闘に参加する姿が見えた。
「黒蜥蜴?な、何故…っ」
「貴方は我々の上司だ。上司の危機とあっては、見て見ぬ振りも出来まい」
銀さんなんて大分雰囲気変わってたけど、前より断然強くなっていることは明らかだ。
それに広津さんの異能も心強い。
敵ももう殆ど殲滅されて、これなら私が出なくても戦闘は終わるだろう…そう考えていた。
一人だけ倒しきれていなかったのか、倒れた状態で銃だけを樋口さんに向かって構える傭兵を見つけた。
黒蜥蜴の皆さんは気付いていない様子。
すぐに能力を発動させ、樋口さんと敵の銃の間に入り込み、敵が銃を構える手を撃った。
「ぐあぁっ…」
倒しきったと思っていた敵の断末魔が聞こえ、黒蜥蜴の皆さんがこちらを向く。
そして、“知らない顔”に含まれる私は黒服の方々からの銃撃を受ける。
「あ、貴方はっ…」
「ん?…!止せっ、あれは!!」
私に気付いた樋口さんと広津さん。
しかし銃撃の方が一歩早く、私は銃で撃ち抜かれるかのように思えた。
本当は壁で自分と樋口さんを覆い尽くしてしまいたかったのだけれど、出来るだけ無茶なことはしないって決めたしね。
小さな小さな、弾丸サイズの強い壁をいくつも作り出して、向かい来る銃弾を全て弾き飛ばす。
勿論マフィア側に怪我人が出てはいけないので、壁を作る角度を調節し、全て横方向に跳ね返るよう工夫した。
それでもこちらに抜けてきてしまう弾は、仕方が無いので自力で相殺。
『全く…酷いなあ首領も、あの人こうなるって予想してるんなら教えてくれてもいいでしょうに』
樋口さんをちらりと見て新たに怪我をしていないことを確認し、広津さんの立つところへと向かって歩き出す。
すると、懲りずにまた銃を向けてくる男の人。
こちらも銃を構えたが、広津さんが男の人を止めに入った。
それによってやめてくれた男の人。
しかし先程銃撃された恨みを晴らすべく、盛大に力を込めてデコピンをしておいた。
「痛っ!!?」
