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第21章 親と子


これは…情報のあった他の異能力者の仕業?
考えられるとしたらそのくらい…まさか、私と同じようなテレポーターがいる…?

中也の事だ、そんなに簡単に誰かにやられるような人じゃあない、あの人は。

それに姿が消えたのであれば…見えないのであれば、扉を作れば辿り着ける。

左手で白い扉を作ってそれを開く…のだが。
私はそこで、今度こそ今回の仕事の難易度を身体で痛感してしまうこととなる。

「蝶!無事だったか!!?」

「いきなりどこに消えちまったのかと思って…」

「本当に焦った…良かった、無事で…」

『……どういう、事…?』

扉を開いた先にいたのは、中也…なのだが。

『…誰、貴方達』

中也が…否、中也と全く同じ容姿をした人間が、その場に五人存在してしまっていた。

明らかにこれはおかしい、どうして?
視覚保護はしたはずなのに…それに、匂いも声も表情も、そのまま全部が中也だなんて。

まさか、コピー能力で他の人間の姿を変えることも可能だった…?

「誰だなんて悲しい事言うなよ蝶」

「分からねえのか?本物の俺が…」

『分からない、も何も…だから、ここに本物の中也はいな……ッ!?』

漂った感覚。
なぞられる唇に、覗き込まれる瞳…触れられる髪に撫でられる背中。

ダメ…その声で、私の事を呼ばないで。
その目で見つめないで…その手で、触れないで。

「…なぁ、今お前……」

「「「「俺のことしか考えられねぇだろ…?」」」」

『ひ…ッ、ぁ…っあ…ッ!!』

力加減なんか全然違う…普段よりも強い。
痛いくらいの力で床に押し倒されて、二人がかりで押さえつけられる。

『痛、ッ…や、めてっ……離し……っ!!?…っな、んで!?なん、で異能力まで…ッあ…っ!?』

中也の、異能力…重力操作でだろうか。
どこからか手錠を引き寄せた相手が、それを私の手首に付ける。
…間に布を巻いてくれないあたり、本物はいないことは分かりきってるのに。

その手錠に鎖を繋がれ、その鎖に繋がれた首輪を首にはめられた。

「蝶…いいこと、してやるよ」

『!!……め、て…っ……や、だ…中也、の姿でこんな…こ、んな…ッ』

膝を大きく開かれれば、閉じられないようにか両膝を拘束具で固定され、結局抵抗も虚しく恥ずかしい体制をさせられた。

どうされるのかなんか、一瞬で想像がついた。
怖い…のに、動けない。
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