第21章 親と子
『……』
「まあまあ、そんなにいじけてやるなよ…首領が泣くぞ?」
『一回泣いたところでいつもの事じゃないですか』
「お前相当不機嫌だな今?……こんなベッタリくっついててよくそんな不機嫌でいられたもんだ」
言葉通り、中也に腕を回してベッタリとくっついたまま首領室へと向かっている。
いいや、言い方を変えよう。
最大限にくっついていてもここまでの事しかできないのだ。
折角中也と一緒にいたのに。
折角中也が可愛いって言ってくれてたのに。
首領、許すまじ……芥川さんとか黒蜥蜴とかでもいいじゃん、お仕事なんて。
「失礼します、首領」
『…失礼します』
扉をノックして中に入ると、椅子に腰掛けている…かと思いきや、なぜだか机よりもこちら側に出て来て床に正座をしている首領。
「……首領?…あの、薄々想像は付いているのですが、やめ「ごめんね蝶ちゃん!!!!!この通り!!!!」……」
『…別に私怒ってないですけど』
「怒ってるからそんなにほっぺた膨らましてるんでしょう…?」
「わっかりやすいなお前!!?」
『それで仕事内容は?私にわざわざ頼むなんてよっぽどのことなんですよね、私と中也の時間を割いてまで頼み込むような内容ならよっぽどのものなんですよね』
中也を無視して口を開くと、首領が冷や汗をだらだらと流し始める。
それに顔を青くする黒服さんふたりと中也。
「え、えっとね…?その…さあ………うん、じゃあ単刀直入に言おう!ある組織を壊滅させて欲しくて…で、その後に二人にはデー『デート!!?』!そう!デートに行って欲しいんだ!」
中原君働いてばっかりだからね!
と親指を立てて言う首領。
あれ?体育祭にも文化祭にも顔出てたような気が。
しかしそれでも舞い上がるのが私の頭。
『本当!?公認の!!?』
「そう!私の公認の、お仕事!!首領命令だよ!」
「ちょっ、首領!?働いてばかりって、俺そんなに働いてなんか「蝶ちゃんとデートに行ってきなさい、これ首領命令。逆らったら蝶ちゃんには太宰君と行ってもらうよ?」なッ…!!?」
『………もしかして行きたくない?中「喜んで行かせていただきます!!!」!やったぁ!!』
今度は満面の笑顔で抱きついた。
『首領大好き♪』
「僕も蝶ちゃん大好きだよー!!!!♡」
『でも中也が一番大好き!♡』
「グッジョブデレ期」