第21章 親と子
「茅野カエデちゃんって…えっ?蝶ちゃんの友達の……って、え!?二人共消えちゃった!!?」
『あ、成功した?』
敦さんの声によってまた確認が取れた。
「うん、成功だよ…じゃあ蝶ちゃん、与謝野先生連れて一緒に戻ろっか♪」
太宰さんのその言葉と共に、大きな音を立てて、本来の入口であったと思われる扉がこじ開けられたのが分かった。
賢治さんの怪力によって。
『もう外していい?目隠し』
「うんって言いたいけど与謝野先生が色々やっちゃってるからまだダメ」
『あ、やっぱりそこは作戦守ってはやらないんだうちの会社って…』
今回は皆頭に来ているだけあって余計にだろう。
「太宰!!白石…はなんで目隠しを!?と、とりあえず与謝野先生とお前と白石は社に!!」
「…蝶ちゃん、君、帰ったらすぐに太宰に事務所に連れて行ってもらいなよね。わざわざありがとう来てもらって……後は国木田達に任せな」
『?乱歩さ…?』
乱歩さんと思わしき手に頭を軽く撫でられてから、与謝野先生が私の肩に触れる。
「まさか本当に連れてくるとは思わなかったよ……頼めるかい?蝶」
『!は、はい!』
すぐに扉を作れば太宰さんが扉を開け、そのまま中に…探偵社の事務所に入る。
するとすぐに与謝野さんは私から手を離し、医務室に行くと言って出ていってしまった。
「さて…ごめんね、無茶なこと頼んで」
太宰さんが私をソファーにおろすよと言ってからおろし、そのまま私の頬に両手で触れる。
『っ…、?』
そして巻いていた布を外し、私は暫く明るさに慣れるために目をゆっくりと瞬きさせた。
「大丈夫……私だよ」
『…迷子のお母さんなのにお母さん呼んでくれないの?』
「お母さんは私になったんじゃなかったのかい?」
『……お父さん』
「…少し待ってて。多分もうすぐ来てくれ「手前蝶に何させてんだ!!!その手で触れんな散れ!!散れ!!」…あーあー、うるさいのが来た」
本当に少しうるさいその声に目をきょとんと丸くする。
準備いいなあ、太宰さん…なんて思っていると太宰さんが私から手を離した。
作戦暗号迷子のお母さんというのは、私と太宰さんがかつて面白がって付けた名前。
その内容というのは、私が視界を奪われてしまったことがあり、そんなときに中也を基準にして状況を把握し、私が攻撃を行ったのが始まりだったもの。