第21章 親と子
「蝶、見えてる」
『見えるところに付けた中也に言ってよ』
「お、大人…っ、蝶ちゃん対応がすごい大人っぽい…!!」
『恥ずかしがるような事じゃないから』
はわわわわ、と顔を赤らめるカエデちゃん率いるクラスの面々。
カルマなんかは、普段なら絶対に弄ってくるのにそんな気もないというほどに苦笑を浮かべている。
「なんでこういうところでだけはそんな冷静なのやら…で?中也さんとはまだ一緒に寝てるの?」
『……わ、悪い!?い、いいいいじゃない別に…ち、ちっちゃい時からの癖だし…!』
「「「なんでこっちで照れんだよ!!!」」」
『いいから早く勉強に戻る!!!』
殺せんせーの指示で、今回のテスト対策に組み込まれた、得意教科の教え合い。
私に関しては知識量が椚ヶ丘中学校の範囲を逸脱しているという見解になってしまったそうで、総監督を務めさせられている。
「こーんな可愛いのにさぁ…よくもまあこんな荒仕事ばっか出来るよねぇ…」
言いながらカルマが取り出したのは彼の携帯。
そこには大々的に取り上げられた昨日までのここ数日のニュース記事が映し出されており、その中の一つをクリックされると、そこには私の写った写真が映し出される。
「あ、それ私も見た!白石 蝶、三日間で爆弾魔事件三件と強盗四件、テロ一件に密輸業者の捕縛!!やりすぎだよもうここまでくると!!」
『探偵社も忙しいの最近、変に依頼が殺到してて…あ、そここっちの解き方した方がいいよ、時間短縮できるし計算少なくて済むから』
「ほんとだ!ありがと蝶ちゃん!」
矢田ちゃんはよく私の記事なんかを見ているらしく、私よりもそのへんの情報に詳しい気さえする。
一々数とかまで把握してないからなぁ私…
『私の話もいいんだけど…なーんか、妙に皆私のことばっかりじゃない?あんなにこっちに絡みたがってるA組さんからは、こんな一大イベントでなんにも音沙汰無しなわけ?』
口にすれば、分かりやすくも図星を突かれたような声を漏らされる。
『…あったのねその反応は?』
「ごめん蝶ちゃん、俺が皆に提案しちゃって…そ、その…」
声を発したのは磯貝君。
『提案?内緒にしておこうって?』
「…うん……言っちゃうと、最近蝶ちゃん忙しいの分かってるし、仕事の負担になっちゃうかもって…それに蝶ちゃん勉強出来るし、こっちに気使っちゃうかなって」