第21章 親と子
「嫌だな、分かってる…じゃあ無理しないでいてくれるか?」
『っ、…無理、してない……』
「能力使ってまで起きてるやつが言うことかよ…徹夜は禁止だ。それするんなら本当に乗り込みに……殺気はやめろ殺気は、隣のトウェインがビビって震えんぞ」
『……今すごくいけないこと考えてる私…ね、中也……ダメだよ?私以外の人とそんなにいっぱいいちゃ…私嫉妬に狂って貴方のこと殺しちゃいそ……ッん…っ!?』
途端に塞がれた唇。
それも触れるだけ…そして長い長い口付け。
長すぎるそれに意識が朦朧としてきて、段々息が足りなくなっていく。
それに彼の腕をなんとか掴めば、ゆっくりと唇を離してくれた。
『は…、っ………ッぁ…っ……』
「…死ぬならそんな死に方がいいかもな……けど、あんまり怖いことばっかり言っちまうんならその口、俺が塞ぐぞ?蝶」
『なッ…、だ、って言えって言ったのは貴方の方で…わ、私が殺したくなるの分かっててそんな事ばっ……~~〜!!?』
「…へぇ、俺がこんなにキスしててもそんなに妬いちまうのかお前……可愛いじゃねえか」
『へ…な、なんでそんなことばっか言って…ッ……だ、って…だって、中也さんが他の人のとこ行っちゃ…っ』
言いかけて、中也はそこで、また私を抱きしめる。
言い始めたら止まらなくなっちゃう私を止めてくれる。
「行って欲しくないだろ?……俺はお前に無理して欲しくない…蝶のためになれるんなら殺されたって結構だよ」
『…わ、たしが…中也を殺して無理しない保証なんかないじゃ、ない…』
「……俺がいなくなってお前、まともな神経でこの世界で生きていけんのか?…暴走すんのは目に見えてんだよ……地球ごとぶっ壊しちまうんじゃねえの?」
『!!…そうさせるより、嫌?……夜更かししてるだけ…なのに』
「地球や俺がどうこうなるより、そっちの方がよっぽど嫌だな。…お前、立場が逆で俺が無理して倒れでもしてみろよ……頭にくるし悲しくもなるだろ」
多分虚言だ、私を納得させるための。
最初からこの人は、私が嫌がるようなことをするつもりは無かったはず……何故なら彼がそれを好みはしないから。
そもそも彼は、そこまで女性というものに興味が無いから。
時には駒として扱えてしまうほどに、彼はそうなのだから。
『…殺……ッ、ン…』
「……そんなにして欲しいのか?欲張り…」