第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
「そっかそっか、よかったよ。まあ恐らく彼女が動けば黒蜥蜴も動くだろうから、戦力的にはさほど問題はないだろうけれど…相手はかなりのお金をかけて武装しているようだからね」
念には念を…流石首領、合理的かつ用意周到だ。
『はい、広津さんたちが来られるのなら安心ですね。それで首領、この件に感しては、中也さんには悟られない方がいいのですか?』
「うーん…そこが私も悩みどころでね?彼は昔から、蝶ちゃんを任務に行かせたがらない性格だし。でも、今回の件での本当の目的は、広津さんと銀ちゃんに会って欲しいというところにあるんだ」
『!広津さんと銀さんに…そうですね、夜にまた首領からドレス選びを手伝ってくれって言われているとでも言って、出てくるようにします』
そこまで言えば首領はぱっと顔を明るくした。
「おお、それなら彼でも納得してくれるだろうね!流石蝶ちゃんだ、今度また何か着て見せておくれ!」
『…………三着までなら』
我慢するのよ蝶、中也さんと約束したんだから。
「そ、そんなあからさまに辛そうにして言わなくても…じゃあ、恐らく今晩になる。芥川君の病室のセンサーが反応したら君の携帯を一コールだけ鳴らすから、奴らのアジトに侵入してくれ」
『はい。』
「心配しなくとも、今回は広津さん達がいるからね。殲滅はマフィア側に任せて、君はあくまで樋口君達を守ってサポートに徹してくれればいい。君に殺しなんてさせようものなら、その後の中原君が怖いしね」
苦笑しながら念を押すように、殺さなくていいと言う首領。
この人も相当、私を甘やかしているような気がする。
「樋口君にも広津さんにも、君が行く事は伝えてはいない。けど君が生きていたという事は広津さん達にも伝わっているから、存分に再会を楽しんでくれたまえ」
敵組織のアジトの写真を何枚かと、ポートマフィアからそこまでの地図を手渡され、私の能力の発動条件が整った。
後は本番に備えて実弾を装備し、中也さんに悟らせなければいけるだろう。
『では、私は用意をしておきますね。弾はポートマフィアの物を補充させていただいてもいいですか?誰かに見つからないように注意はしますので』
「ああ、いいよ。」
『良かった。では失礼します』
「うん」
分かっているとは思うけれど、あまり壁は使わないように。
その言葉に一礼して首領の部屋から退散した。
